04認知症コラム
認知症とアロマの関係-予防やケアに
つながる取り入れ方、注意点をご紹介
2026.04.30
アロマの香りは癒しを感じられるものですが、認知症予防や緩和に役立つ可能性があることをご存知でしょうか。今回は、アロマが認知症に与える影響や、認知症予防やケアに役立てる際の香りや日常生活での取り入れ方についてご紹介します。あわせて注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
アロマが認知症に与える影響
香りを用いるアロマ療法は、嗅覚への刺激という観点から、アルツハイマー型認知症の初期にみられることがある嗅覚機能の低下へのアプローチとして取り入れられることがあります。
また、周辺症状や中核症状の一部に対して、症状の緩和が期待できる場合があります。
アロマが脳に働きかけるしくみ
香りは嗅神経を通じて脳に直接届き、気分や自律神経に影響しやすい感覚のひとつです。
とくに、アルツハイマー型認知症では嗅神経が早期にダメージを受けやすく、においの変化が初期症状として現れることがあります。
嗅神経や記憶をつかさどる海馬には再生しようとする働きがあり、香りの刺激がその活動を後押しする可能性があると考えられています。
実際に鳥取大学で、介護老人保健施設の高齢者を対象に28日間のアロマ療法を実施した研究では、アルツハイマー病の軽度~中等度の患者に、自己に関する見当識の改善がみられたという報告があります。
認知症予防やケアにつながるアロマ5選
アロマにはいろいろな種類の香りがありますが、以下で紹介する香りは認知症予防やケアに取り入れやすい香りです。種類によって特徴や時間帯の目安が異なっているので、詳しく見ていきましょう。
ローズマリー
ローズマリーのフレッシュではっきりした香りは、記憶力・注意力・集中力の維持に役立つ場合があります。また、無気力感やストレスのリフレッシュ、眠気覚ましに取り入れられることもあります。
ラベンダー
ラベンダーの香りにはストレス緩和や気分の安定、感情のバランスを整える面でよい影響が見られる場合があります。
また、副交感神経を優位にさせ、リラックスの助けになる場合があるため、不眠のサポートにつながる可能性があります。
レモン
レモンの爽やかな香りは、心身の働きを活性化するのに役立つ場合があります。また、気分をリフレッシュさせたいときや冷静になりたいとき、集中力を向上させたいときにも役立つとされています。
スイートオレンジ
スイートオレンジは甘みのある香りで、ストレス軽減やリラックスの助けになると場合があるとされています。
また、気持ちをポジティブにしたり緊張状態をほぐしたりする面もあり、心のバランスを安定させて睡眠のサポートにつながる場合もあります。
ローマンカモミール
ローマンカモミールは、甘くやわらかな香りで、心を落ち着かせたい場面で助けになる場合があります。具体的には、緊張感やイライラを和らげたいときや、リラックスして眠りたいときに取り入れられることがあります。
認知症予防やケアにつながる
アロマの5つの取り入れ方
認知症予防やケアでアロマを取り入れるには、右下記のような方法が一般的です。それぞれの特徴を理解して、実践しやすい方法で試してみましょう。
| 空間に香りを 広げる |
アロマディフューザー |
|---|---|
| アロマスプレー | |
| 肌に 直接触れる |
アロママッサージ |
| ハンカチやティッシュ | |
| 身につける | アロマペンダント |
アロマディフューザー
ディフューザーの使用は、アロマを生活に取り入れる上でとくに一般的な方法です。
加熱式や超音波式、気化式、噴射式など、さまざまなタイプがあり、インテリアとしても楽しめるデザイン性が高いものも多いです。水に好みのアロマオイルを数滴加えてセットするだけで、空間に香りのミストが広がります。
認知症に関する研究報告があるアロマの調合は、右記以下の組み合わせです。
昼用:ローズマリー2滴+レモン1滴
交感神経を刺激。気分をすっきりさせ、集中力の向上や記憶力(認知機能)の強化を促す
夜用:ラベンダー2滴+オレンジ1滴
副交感神経を刺激。気分を落ち着かせ、心身をリラックスさせる
アロマスプレー
アロマスプレーとして空間やカーテン、寝具に吹きかけて使う方法もあります。この方法を使えば、精油の種類によっては抗菌作用も期待できます。
また、アロマスプレーは市販で購入するほか、精油と無水エタノール、精製水を使って手づくりすることも可能です。注意点として、精油は水に溶けないという特徴があります。使用前には容器をよく振って混ぜてください。
アロママッサージ
アロマオイルをマッサージに使用すれば、香りによる効果の他にも、スキンシップによる安心感が得られる魅力があります。加えて、マッサージ用オイルを手や足に優しく滑らせるように使うことで血行を促す助けになる場合があります。
ただし、精油の原液は肌に直接付けられない点に注意が必要です。マッサージに使用するにはキャリアオイルで1%以下に希釈して使用します。
ハンカチやティッシュ
ハンカチやティッシュに数滴のアロマオイルを垂らすことでアロマを楽しむ方法もあります。水や電気を使わない方法なので、外出時に気持ちを落ち着かせたい場合などにも携帯しやすく便利です。
眠る前に香りを楽しみたいときは、枕元など近くに置いておくのもよい方法です。注意点として、精油の種類によってはハンカチにシミができる場合があります。
アロマペンダント
アロマオイルを数滴垂らして使うアロマペンダントは、外出が多い人や、日中を活動的に過ごしたい方に向いた方法です。
精油の組み合わせの例として、「ローズマリー・カンファー2滴+レモン1滴」があり、交感神経を刺激するとされ、日中の活動の助けになる場合があります。
アロマペンダントは他の芳香浴の方法とは異なり、アクセサリー感覚で楽しめることも魅力のひとつです。
認知症予防やケアにアロマを
取り入れるときの注意点
認知症の方がアロマを利用する場合、注意すべき点がいくつかあります。以下で詳しくみてみましょう。
認知症の方の手の届かない場所に保管する 天然のアロマオイルを選ぶ 事前にパッチテストを行ったり少量から試したりする 使用前は医師や専門家に相談する
認知症の方の手の届かない場所に保管する
アロマオイルは、認知症の方の届かない場所に保管しましょう。誤って飲み込んでしまうと健康を害するおそれがあります。
飲み込まなくても、皮膚についたり目に入ったりすると皮膚や目に炎症を起こすリスクもあるので注意しましょう。
天然のアロマオイルを選ぶ
化学合成のアロマオイルの中には、人体に影響を及ぼすおそれがあるものもあるため、天然由来のものを選びましょう。
具体的には、「100% Pure & Natural」「Pure Essential Oil」などと書いてあるものを選ぶとよいです。
事前にパッチテストを行ったり
少量から試したりする
精油の種類によっては、紫外線に強く反応して皮膚の炎症を引き起こすこともあるため、事前に精油の性質を確認しておく必要があります。
初めて使う場合は、通常使用する量の半分以下から試すようにしたり、皮膚が弱い方は事前にパッチテストを行ったりすると安心です。
使用前は医師や専門家に相談する
人によってはアロマオイルの使用に過敏反応を起こしたり、不調をもたらしたりすることもあるため、使用する時は事前に医師へ相談することが推奨されています。
また、アロマセラピストやマッサージセラピストなどの専門家も相談先の一つです。
認知症とアロマに関するよくある質問
認知症の方へのアロマについて、よく聞かれる質問とその回答を以下にまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
アロマによる認知症への効果はいつごろから感じられますか? アロマを使えば認知症は治りますか? 認知症が進行していても効果はありますか?
Qアロマによる認知症への効果はいつごろから感じられますか?
アロマによる効果がいつごろから感じられるのか、現在のところ詳しく分かってはいません。
参考として、鳥取大学の研究では28日間の研究で認知症の症状に改善がみられたと報告されています。効果を感じる時期には個人差があるため、4週間を目安の一つとして、体調や状態に合わせて無理のない範囲で続けましょう。不安がある場合は医師や専門家に相談してください。
Qアロマを使えば認知症は治りますか?
現在、認知症を完全に治す方法は見つかっていません。ただしアロマ療法では認知症の予防に加え、認知症を発症している方の自律神経を整えることで、気持ちのコントロールや睡眠をサポートする働きがあるといわれています。
Q認知症が進行していても効果はありますか?
研究では、高度まで進行した認知症でも、症状に改善がみられた報告もあります。アロマ療法では、特に進行した認知症でよくみられる周辺症状である興奮や不穏、睡眠障害などの改善の助けになる場合があると考えられています。
自分に合った方法で認知症ケアに
アロマを取り入れてみましょう
ここまでで紹介したように、認知症にはアロマが役立つ場合があります。アロマを取り入れるにはいろいろな方法があるので、それぞれのライフスタイルに合う方法を選び、まずは続いやすいものから取り入れるとよいでしょう。ただし、副作用が出ることがあるので、まずは少量から試し事前に医師や専門家に相談しましょう。
「認知機能ケアプロジェクト」ではガンマ波の最新研究情報も配信しています。認知症ケアにはエビデンスに基づいた情報が欠かせません。「まだ認知症ケアには早い」とお考えの方も、早期からのケアで予防につなげられる可能性があります。正しい知識を得るためにもチェックしてみましょう。