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04認知症コラム

認知症でも仕事は続けられる?
働くためのポイントや支援制度を徹底解説

2026.02.27

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認知症と診断されても、適切な対応や支援を受ければ仕事を続けることは可能です。しかし、「仕事でのミスが心配」「職場で迷惑をかけないか」と不安を抱える方も多いでしょう。この記事では、認知症でも仕事を続けるための方法、仕事を探す際のポイントを解説します。また、認知症の方が利用できる支援制度・サービスもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

認知症と診断されたら仕事はできる?

認知症と診断されても仕事はできる

認知症と診断されたら仕事はできる? イメージ

認知症と診断されても、症状や進行度には個人差が大きく、初期段階であれば仕事を続けられる方も少なくありません。とくに、長期記憶や習慣的な行動は比較的保たれるため、これまでの経験やスキルを活かした業務で力を発揮できます。

また、職場の理解や業務環境の調整があれば、本人の能力を十分に活かしながら働き続けることが可能です。

記憶障害について詳しくはこちら
見当識障害について詳しくはこちら
言語障害について詳しくはこちら

主な症状別の考えうる仕事への影響

主な症状 仕事への影響の例
記憶障害
  • 会議内容や指示を忘れる
  • 提出期限を守れない
  • 新しい業務の習得が難しい
判断力・注意力の低下
  • 複雑な業務でミスが増える
  • 安全管理が必要な作業で
    事故リスクが高まる
見当識障害
  • 時間や場所の認識がずれ、
    勤務開始や終了が混乱する
  • スケジュール管理が難しくなる
感情の変化
  • 不安や焦りから集中力が低下する
  • 急に怒り出したりするなど、
    感情のコントロールができない
  • 人間関係の摩擦が生じやすい
言語障害
  • 説明や報告がうまくできない
  • コミュニケーションに支障が出る

認知症と診断されてからも
仕事を続けるための対応方法

認知症と診断されても工夫次第で仕事を続けることは可能です。認知症を抱えながらどのようにすれば働き続けられるのか、具体的な対応方法をみていきましょう。

職場の理解とサポート体制を得る 業務内容や勤務時間の調整を相談する 車の運転を伴う業務は避ける

職場の理解とサポート体制を得る

認知症の方が安心して仕事を続けるためには、職場の理解と支援体制が欠かせません。上司や同僚に症状を正しく理解してもらうことで、業務中の不安やストレスを軽減できます。

また、社内の制度や相談窓口を活用することも重要です。職場全体で支える体制が整っていれば、本人の能力を最大限に発揮しながら働き続けることが可能になり、長期的な就労継続の大きな支えとなります。

業務内容や勤務時間の調整を相談する

業務内容や勤務時間の調整も重要です。たとえば、負担の少ない業務に変更することで、認知症を抱えていても無理なく働き続けられるようになります。また、勤務時間を短縮すれば疲労を軽減でき、集中力の維持にもつながります。

柔軟な働き方を認めてもらうことも大切です。体調や症状の変化に応じて業務内容や勤務時間を調整できれば無理をする必要がなくなり、仕事を続けやすくなります。

具体例
  • 複雑な業務から単純作業にシフトする
  • フルタイムから週3日の勤務に変更する

車の運転を伴う業務は避ける

認知症の方が仕事を続ける場合、車の運転が必要な業務は避けることが重要です。認知症は判断力や注意力の低下をともなうため、運転による事故のリスクがあります。

事故の発生は本人だけでなく、同僚や取引先など周囲にも深刻な影響を与える可能性があり、安全面を最優先に考えなくてはなりません。移動手段として車を使っていた場合は、公共交通機関やタクシーなどほかの移動手段を活用する働き方に切り替える必要があるでしょう。

認知症の方が仕事を探す場合の3つのポイント

認知症と診断された方が仕事を探す際には、事前に理解しておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、認知症の方が自分に合った働き方を見極めるための視点を押さえましょう。

障害者雇用枠について理解する 障害をオープンにするか決める 自分に合った仕事を選ぶ

認知症の方が仕事を探す場合のポイント イメージ

障害者雇用枠について理解する

障害者雇用枠は、企業が障害者を一定割合で雇用する義務に基づいて設けられた採用枠です。この枠を活用することで、職場での配慮や支援を受けやすくなり、安心して働ける環境に身を置けます。

また、ハローワークや就労支援機関と連携して仕事を探すことも大切です。自分に合った職場を見つけやすくなり、認知症の方でも就労のハードルを下げることができます。

障害者雇用枠
  • 企業が障害者を雇用するための専用の求人枠
  • 業務内容は比較的シンプルなものが
    多く、給与は一般雇用より低い傾向

障害をオープンにするか決める

認知症の方が仕事を続ける場合、症状を職場に伝えて働く「オープン就労」と、伝えずに働く「クローズド就労」という2つの選択肢があります。

オープン就労にすると業務内容や勤務時間の配慮を受けやすくなりますが、クローズド就労の場合、自由度は高いものの支援は得られにくくなります。自身の症状や希望する働き方を踏まえ、どちらの方法が自分に合っているかを慎重に検討することが重要です。

クローズド就労
  • 認知症であることを伏せて就労すること
  • 採用されやすい傾向にあるが会社の求める仕事について行けなくなる可能性がある
オープン就労
  • 認知症であることをオープンにして就労すること
  • 障害者就労支援のさまざまなサービスを受けて仕事を探し決められる
  • スキルや条件によるが給与が高くないケースがある

自分に合った仕事を選ぶ

自分に合った仕事を見極めることは、認知症の方が安心して働き続けるための重要なポイントです。これまでの経験や得意分野を活かせる仕事を選ぶと、安心して業務に取り組むことができるでしょう。

また、体力や集中力に応じて無理のない業務内容を選ぶことも大切です。さらに、職場環境や支援制度の有無を確認し、自分にとって働きやすい条件を整えることで、長く安定して働くことが可能になります。

認知症の方でもできる仕事の種類

認知症の方が仕事を選ぶ際には、症状と向き合いながら無理なく続けられる業務の種類を知っておくことが重要です。ここでは、取り組みやすい仕事のタイプについて解説します。

認知症の当事者としてできる仕事

まず挙げられるのが、認知症の方が当事者として自身の経験や体験を活かし、同じ立場の人や社会に理解を広げる役割を担う仕事です。実際に症状と向き合っているからこそ、発する言葉には共感性や説得力が生まれます。当事者の視点を社会に伝えることで、新しい価値や支援の輪も広げられます。

具体例
  • 認知症の方やその家族の相談
  • 講演
  • 認知症関連の有償ボランティア活動

単純作業の仕事

単純作業の仕事は、複雑な判断を必要としないため、認知症の方でも安心して取り組みやすいでしょう。繰り返し行う作業は習慣化しやすく、混乱を防ぎやすいのもメリットです。また、成果が目に見える形で現れるため、達成感を得やすく、モチベーションの維持にもつながります。

具体例
  • 草取り
  • 清掃作業
  • ポスティング業務
  • 工場での流れ作業

体を動かす仕事

体を動かす仕事は、身体を使うことで集中力が続きやすく、適度な気分転換にもなります。単純な繰り返し作業であれば継続しやすく、安定した成果を出すことも可能です。軽い運動を伴う仕事は、心身の健康維持にも役立つでしょう。

具体例
  • 農作業のフォロー
  • 大工作業
  • お店のバックヤードでの運搬や移動
  • 清掃作業

長期記憶を活かす仕事

長年培った技能や習慣的な作業は認知症になっても残りやすいといわれているため、長期記憶を活かした仕事はおすすめです。実際に過去の経験を活かして安心して取り組める業務は多くあります。熟練した技術や知識を活かせる仕事は、本人の自尊心を保つことにつながる点も大きなメリットです。

具体例
  • 接客業
  • 英語通訳

参考:厚生労働省「認知症の人の「はたらく」のススメ

認知症の方が利用できる就労支援制度やサービス

認知症の方が安心して働くためには、周囲の支援を上手に活用することが大切です。ここでは、仕事を探すときや働き続けるうえで利用できるおもな支援制度やサービスをご紹介します。

ハローワークの障害窓口 障害者就業・生活支援センター 就労移行支援事業所 精神障害者保健福祉手帳

認知症の方が利用できる就労支援制度やサービス イメージ

ハローワークの障害窓口

ハローワークの障害者窓口では、障害者雇用に詳しい専門の相談員に就職活動を丁寧にサポートしてもらえます。

求人情報の提供にとどまらず、入職後の職場定着に向けた支援も行っており、認知症の症状に応じた働き方についての相談も可能です。個々の状況に合わせた支援を受けられるので、再就職でも安心して利用できます。

参考:厚生労働省「ハローワークインターネットサービス

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、就労と生活の両面から支援を受けられる地域の拠点です。企業との調整や職場での定着支援を行っており、働きやすい環境づくりのサポートを担っています。

また、本人だけでなく家族の相談窓口としても機能しており、就職活動や日常生活に関する悩みを幅広く相談できるのも特徴です。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、一般就労を目指す方に対して、職業訓練や職場体験の機会を提供する施設です。

コミュニケーション能力や作業スキルを身につけるためのプログラムが用意されており、就職に向けた準備を効率的に行えます。就職後も職場での定着支援を受けられるため、安心して働き続けられます。

精神障害者保健福祉手帳

認知症などの精神疾患で日常生活に支障をきたしている場合、精神障害者保健福祉手帳を申請・取得可能です。これを持っていると、障害者雇用枠の活用や職場での配慮を受けやすくなるほか、公共料金の割引など生活面でのサポートも受けられます。

また、就労支援サービスや福祉制度の利用もスムーズになり、認知症を抱えながら仕事をするうえでさまざまなメリットがあります。

認知症の方の仕事に関するよくある質問

ここでは、認知症の方の仕事に関してよくある質問とその回答をまとめました。認知症でも仕事を続けたいと考えている方やそのご家族は参考にしてください。

Q認知症の方が仕事を続けるのが難しくなった場合どうすればよいですか?

認知症の症状が進行して仕事を続けるのが難しくなった場合は、無理をせず退職や休業のタイミングを関係者や医師と相談することが重要です。休業を選ぶ場合には傷病手当の手続きを確認し、必要に応じて申請しましょう。

また、職場でミスや判断力の低下など、本人や周囲に負担がかかるサインが多く見られる場合には、早めに対応を検討する必要があります。

  • 職場の環境が分からなくなる
  • 集中力や落ち着きがなくなる
  • 声かけやサポートに無気力で怒りやすくなった
  • 人間関係が悪くなった
  • 体調が悪くなった  など

Q家族がサポートできることには何がありますか?

認知症の方を支える家族は、日々の体調管理や生活リズムの維持に配慮することが大切です。また、職場と率直な情報交換を行うことで、家では気づきにくい症状や変化を共有でき、職場での対応に役立ちます。

また、家庭での本人の状態をもとに「できること・できていること」「関わり方のコツ」を整理して職場に伝えておくことも重要です。こうした対応が、仕事を続ける本人の安心感や安定した勤務につながります。

家族が認知症になった際の対応について
詳しくはこちら

Q認知症の治療と仕事を両立するためには
どうすればよいですか?

まず認知症の原因やタイプを理解し、早期発見・早期治療に努めることが重要です。適切な治療を受けることで症状の進行を遅らせたり、生活や仕事への影響を軽減したりできます。また、家族や職場の理解・協力も不可欠です。通院や服薬管理、業務調整などを行い、無理なく安心して働き続けられるようサポートしましょう。

参考:厚生労働省
若年性認知症における治療と仕事の両立に関する手引き

認知症の治療方法について詳しくはこちら

認知症で仕事を続けるには
周囲の支援が欠かせない

認知症と診断されても、症状や進行度に応じて仕事を続けることは可能です。働きやすい環境を整え、職場や家族の理解を得ること、業務内容や勤務時間を調整することが、継続の鍵となります。また、自分に合った仕事を選び、必要に応じて就労支援制度を活用することも検討しましょう。

認知症で仕事を続けるためには支援や環境整備が重要ですが、日々の認知機能ケアも合わせて行うことで、より安心して働くための土台を築けます。「認知機能ケアプロジェクト」では、ガンマ波の最新研究情報をもとにした認知機能の改善・維持に役立つ知見を配信中です。正しい知識を得て日常生活や仕事に活かすためにも、ぜひチェックしてみてください。

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