日本農芸化学会が100周年を迎えて

日本農芸化学会が1924年に設立されてから今年で100周年を迎えた。初代会長はビタミンB1の発見者である鈴木梅太郎博士。世界にはない日本独自の学会として知られている。「農芸化学分野の基礎および応用研究の進歩を図り、これを通じて科学、技術、文化の発展に寄与することとして、より人類の福祉の向上に資すること」が設立目的だ。

今年は100周年の記念式典と100周年記念大会が開催される。創立100周年記念式典は、3月23日(土)13時から東京大学駒場キャンパス900番教室で行う。一方、創立100周年記念大会(2024年度大会)は3月24日(日)~27日(水)、大会会場を東京農業大学世田谷キャンパスにおいて開催する。テーマは「温故知新~農芸化学の過去・現在・未来を語り合う~」とし、意味として「生命・食・環境をキーワードに、地球に優しいSDGsを見据えた科学と生物の融合学問分野、基礎から応用まで」と説明している。

大会に先立ち、1月半ばに「新年の集い~創立100周年に向けて~」を東京・新宿の京王プラザホテルにおいて開催し、メディアを集めて記念式典や大会概要の説明会を設けた。新年の集いでは冒頭、西山真会長(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)が挨拶した後、創立100周年記念事業実行委員会委員長の清水誠東京大学名誉教授(東京農業大学客員教授)が創立100周年事業を、2024年度大会実行委員長の東原和成東京大学大学院農学生命科学研究科教授が2024年度大会をそれぞれ紹介した。日本農芸化学会は歴史の中で、1984年に創立60周年を記念し、「農芸化学の100年」と題した記念誌を発行しているが、今年も100周年記念誌を発行する予定だ。60周年後の40年を主要な活動概要を記載し、小冊子(200ページ程度)として作成する。また、これとは別に現在から未来に向けた農芸化学の在り方について考える第2部も作成し、Web版として発行する。

記念大会のシンポジウムでは、「これまでの農芸化学研究の100年を振り返るシンポジウム」(農芸化学レジェンドによる伝統的な研究やお家芸の紹介:3月24日)、「これからの100年の農芸化学研究を展望するシンポジウム」( 若手によるパネルディスカッション、これからの展開、未来をテーマにした牛丼byゼンショー:3月27日)、公募・企画のシンポジウム(厳選25トピック:3月25~27日)などのほか、学会賞授賞式、ジュニア農芸化学会、農芸化学を体感するなど、盛り沢山な内容で記念大会が開かれる。

記念シンポジウムをvisionary100として、農芸化学分野を4グループ「食・腸内細菌・健康研究領域」「微生物・バイオマス利用研究領域」「天然物化学研究領域」「食品機能研究領域」に分けて、それぞれ2016年あるいは2017年から創立100周年に向けて継続したシンポジウムを開催してきた。例えば、食品機能研究領域であれば、第1回「日本食の健康機能を支える食材の力」(2018年)、第2回「新たな発見・発想から得られた食品成分の新規機能性の解明~ひらめきのヒント~」(2021年)、第3回「認知機能の予防で、老後の生活を豊かに」(2022年)と続けられ、食・腸内細菌・健康研究領域では、第1回「食・腸内細菌・健康」(2016年)、第2回「腸内細菌と臓器~健康と疾病~」(2018年)、第3回「健康長寿社会に向けての腸内細菌科学の新展開」(2021年)と継続したテーマでシンポジウムが継続されている。

機能性食品成分の多彩な生理機能研究が数多く発表される日本農芸化学会は、日本の機能性研究の最前線であり、業界の大きな期待を背負って進む。

「FOOD STYLE 21」2024年3月号 F’s eyeより

関連記事一覧