04認知症コラム
認知症改善プログラムのリコード(ReCODE)法とは?
内容や注意点を解説
2026.03.30
認知症を改善するためのプログラムのひとつに「リコード(ReCODE)法」があります。リコード法は患者個人に合わせたオーダーメイドのプログラムです。この記事では、リコード法を始める際に実施する検査やプログラムの内容、注意点について解説します。
リコード法とは?
複数の原因を調べて個人に合わせたオーダーメイドのアルツハイマー型認知症を対象とした改善プログラム
リコード(ReCODE)法とは、アメリカのデール・ブレデセン博士らの研究により考案された認知機能治療プログラムです。認知症の中でも高い割合を占めるアルツハイマー型認知症患者に効果が認められたことから、世界的にも注目を集めています。
従来、アルツハイマー型認知症の主な発症原因は「アミロイドβが脳内に蓄積すること」と考えられてきました。しかし、リコード法では発症原因をひとつに特定せず、患者一人ひとりの身体の状態を細かく分析したうえで、アルツハイマー型認知症にアプローチしていきます。
リコード法においてアミロイドβの蓄積に関わるとされる6つのタイプ
| タイプ | 概要 |
|---|---|
| 炎症性 | 口腔トラブルや慢性的な感染、腸内環境の乱れなどがきっかけで、 体の中で炎症が続いてしまう |
| 萎縮性 | ホルモンの低下やビタミン不足など、体に必要な栄養・調整物質が 足りないことで脳の働きが弱まりやすい |
| 毒物性 | 水銀や鉛などの重金属、カビ由来の毒素など、体に負担をかける物質が蓄積することで影響が出る |
| 糖毒性 | 血糖値が高い状態が続き、代謝のバランスが崩れることで脳に負担がかかる |
| 血管性 | 高血圧や動脈硬化などの血管トラブルで脳の血流が低下し、 酸素・栄養が届きにくくなる |
| 外傷性 | 過去の頭部打撲や脳震盪など、ケガの影響が長く残ってしまう |
リコード法で行う主な検査
リコード法を開始するにあたり、いくつかの検査によりアルツハイマー型認知症患者の身体的状態を詳細に理解したうえで、プログラムを組んでいきます。ここでは、主な検査の内容を紹介します。
血液やホルモンなどの身体的データの検査
身体の状態が認知機能にどのように影響しているかを把握するため、血液やホルモンのバランス、炎症の有無などを総合的に確認します。代謝異常や慢性炎症、ホルモン低下などは認知機能の低下と関連するため、これらのデータをもとに改善すべき身体的要因を特定します。
- 具体的な検査項目(例)
-
- 血液検査
- ホルモン検査
- 栄養状態の検査
- 炎症マーカーの検査
生活習慣や栄養状態のチェック
認知機能の低下には生活習慣が深く関わるため、睡眠・食事・運動・ストレスなど日常の行動パターンを丁寧に確認します。生活習慣の乱れや栄養不足が脳の働きを妨げていないかを把握し、改善の方向性を明確にするための重要なステップです。
- 具体的な検査項目(例)
-
- 食事内容
- 睡眠の状態
- 運動習慣
- ストレスの状態
認知機能の評価
現在の認知機能の状態を客観的に把握するため、記憶力や注意力などを測定する認知検査を行います。必要に応じて脳画像検査を組み合わせ、どの領域にどの程度の低下があるのかを確認し、改善プランの基礎データとします。
- 具体的な検査項目(例)
-
- 認知機能検査(MoCA、HDS-R、MMSEなど)
- 必要に応じた脳画像検査(MRI)
リコード法で行う主な6つのプログラム
身体状況と生活習慣、認知機能についての検査を実施した後に、リコード法のプログラムが開始されます。主な6つのプログラムについて見ていきましょう。
食事(ケトフレックス12/3など)
血糖値の急上昇を避け、脳のエネルギー代謝を整える食事がリコード法の基本になります。野菜・魚・良質な脂質を中心に、加工食品や砂糖を控えることが推奨されています。また、就寝前3時間は食事をしないなど、食事のタイミングも重要です。
国内では「ケトフレックス12/3」が参考にされることが多く、認知症だけでなく高血糖の改善にも役立つとされています。
ケトフレックス12/3とは…
血糖値を急上昇させないことを重視した食事法です。糖質を減らし、代わりに“ケトン体”をエネルギー源として使う状態を目指します。高齢者や痩せ型の人は過度な糖質制限で体調を崩す可能性があるため、医師と相談して行うことが望ましいでしょう。
推奨されていること
- 寝る3時間前以降は食べない
- 糖質を上げやすい食品(砂糖・白米・パン・麺類など)を控える
- 代わりに野菜・良質な脂質・タンパク質をしっかり摂る
- 魚(特にオメガ3系脂肪酸を含むもの)や発酵食品を積極的に取り入れる
- 加工食品・小麦製品・乳製品は避ける
運動習慣の改善
適度な運動は脳の血流や代謝を整え、認知機能の維持に役立ちます。ウォーキングや軽い筋力トレーニングなど、身体に負担の少ない運動を週数回取り入れることが推奨されます。転倒に注意しながら、無理のない範囲で継続することが大切です。
睡眠の改善
質の良い睡眠は、脳の回復と老廃物の排出に欠かせません。就寝前のスマートフォン使用やカフェイン摂取を控え、寝室環境を整えることで睡眠の質を高められます。睡眠不足は認知機能に影響するため、生活リズムを整えることが重要です。
ストレス管理
慢性的なストレスは記憶力や注意力に悪影響を与えるため、適切にコントロールする必要があります。深呼吸・瞑想・軽い運動など、心身を落ち着かせる習慣を取り入れることで、ストレスの蓄積を防ぎやすくなります。
認知トレーニング
脳を意識的に使うトレーニングは、記憶力や注意力の維持に役立ちます。リコード法では、BrainHQなどのデジタルツールを活用し、処理速度や作業記憶を鍛えるプログラムが取り入れられています。
サプリメント摂取
サプリメントは、栄養バランスを整えて脳と身体の状態を支える目的で用いられます。単一栄養素の効果には強いエビデンスはありませんが、栄養不足は認知機能に影響すると考えられているため、血液検査をもとに不足分を補います。
リコード法を検討する際の注意点
リコード法は複合的なアプローチで認知機能の改善を目指す手法です。ここでは、実施する際の注意点について解説します。
医学的エビデンスはまだ限定的である
リコード法はアメリカで提唱されたアプローチであり、まだ手法や効果などが確立されているわけではありません。一定の効果を示す報告はありますが、症例数が少なく、認知症患者に対して効果があると断言できない点にも注意が必要です。
日本では医療ガイドラインにより標準治療として認められていないため、患者の判断・自由診療として実施することが求められます。また、効果には個人差が大きい点も留意しておきましょう。
クリニックごとに内容が異なる
リコード法という名称が用いられている場合でも、提供方法はクリニックによって異なります。たとえば、プログラム開始前に実施する検査項目も、クリニックによって異なる可能性があります。
また、プログラムの内容自体も、統一されていません。費用や通院頻度、サポート体制にも差があるため、クリニックを慎重に選ぶことが必要です。
生活習慣の改善が前提になる
リコード法では、食事や睡眠、運動、ストレス管理などの日々の行動改善を中心としてプログラムを進めていきます。
いずれも継続しないと効果は期待できないため、短期間で劇的な変化は期待できません。生活スタイルに合わせて無理なく継続できるか、プログラムを実施する患者自身が熟考することが必要です。
リコード法に関するよくある質問
ここでは、リコード法についてのよくある質問とその答えを紹介します。ぜひ疑問解消に役立ててください。
リコード法にかかる費用はどのくらいですか? リコード法は本当に効果がありますか? リコード法は認知症が進んでいても効果はありますか?
Qリコード法にかかる費用はどのくらいですか?
リコード法はクリニックや患者の状態によって実施方法が異なるため、費用もクリニックごと、患者ごとに異なります。また、日本では標準治療として認められていないため、公的医療保険は適用されず、全額自己負担となる点にも注意が必要です。
Qリコード法は本当に効果がありますか?
リコード法の効果を検証する研究も実施されていますが、症例が少なく、効果を断定することはできません。ただし、リコード法は元々アルツハイマー型認知症患者に向けたプログラムのため、とくにアルツハイマー型認知症の方に効果を期待できると考えられるでしょう。
Qリコード法は認知症が進んでいても効果はありますか?
進行している認知症でもリコード法が役立つ可能性はありますが、改善の程度は進行度によって変わります。軽度〜中等度では効果が期待される一方、重度では改善が限定的になることがあります。進行度別の研究はまだ十分ではないため、医師と相談しながら判断することが重要です。
生活習慣を見直すことから健康習慣を始めよう
リコード法はアルツハイマー型認知症の治療法として実施されることがあります。しかし、効果については検証が十分ではなく、日本では標準治療としては認められていません。ただ、リコード法で実施されるプログラムは、健康維持・増進に役立つものも多いため、普段の生活習慣を見直す手法として取り入れられるでしょう。
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