04認知症コラム
認知症になると独り言が増えるって本当?
原因や対処法を紹介
2025.08.29

認知症になると独り言が増える場合があります。本記事では、認知症による独り言の原因や特徴について解説します。また、タイプ別の傾向や具体的な対処法、介護者の注意点やコミュニケーションの工夫もご紹介しますので、認知症のご家族を持つ方は参考にしてみてください。
独り言は認知症の特徴の一つ
認知症で現れる独り言は、記憶障害や判断力の低下などの中核症状によって起こる周辺症状の一つです。単なる癖ではなく、認知機能の低下や不安、孤独感など複数の要因が絡み合って発生します。
また、症状の現れ方や頻度には個人差があり、すべての認知症の方に独り言が見られるわけではありません。独り言の原因や特徴については、以下で詳しく解説します。

認知症による独り言の特徴は?
認知症の方が発する独り言には特有な傾向が見られます。具体的にどのような特徴があるのかみていきましょう。
誰と話しているかのような話し方をしている
認知症の方は、実際には周囲に誰もいないのに、まるで誰かと会話をしているかのように話すことがあります。傍から見ると第三者と会話しているように映りますが、内容をよく聞くと現実とはかけ離れていたり、支離滅裂だったりすることも少なくありません。
- よく見られる言葉の例
- 「そこにいるの?」 「そこで何をしているの?」
同じ言葉を繰り返している
特定の単語やフレーズを何度も繰り返して話すことも特徴の一つです。これは「反復言語」と呼ばれ、多くの場合、脳の情報処理や記憶障害が背景にあります。本人は何かを伝えたくて繰り返していることもあるため、内容や状況をよく観察することが大切です。
無意味な言葉ばかり発している
周囲には理解できない言葉や、意味のないフレーズを繰り返し発するケースもよく見られます。本人は何かを伝えたい気持ちがあっても、うまく言葉にできず、結果として意味のない言葉が繰り返されることも多いです。会話の流れや状況に関係なく突然始まり、一日中続く場合もあります。
物を探しながらつぶやいている
物を探しながら、「どこに置いたかな」「またなくなった」といった独り言をつぶやくのも特徴の一つです。これは健常な方にも見られる行動ですが、認知症の場合はその頻度が多くなります。1日に2回以上同じ行動を繰り返している場合、認知症の初期症状である可能性が高いです。
夜になると増える
認知症による独り言は、夕方から夜間にかけて増える傾向があります。日中は落ち着いていても、夜になると急に独り言が始まるケースが多いです。これは「夕暮れ症候群」とも呼ばれ、暗くなって周囲の状況を確認しづらくなるなど、環境の変化による不安や混乱が影響していると考えられています。
認知症の人が独り言を発するようになる原因
認知症の方が独り言を発するようになる背景には、脳の機能低下や心理的な不安が大きく関係しています。具体的な原因をみていきましょう。
認知機能の低下によるストレス
認知症が進行すると、記憶力や判断力が低下し、思い出せないことへのいら立ちや、自分自身がわからなくなる不安・孤独感を抱きやすくなるといわれています。こうした心理的なストレスが積み重なると、気持ちを整理したり安心感を得たりするために独り言を発したりするようになります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積することで発症します。現実には存在しない人や物が見える「幻視」が多く見られるのが特徴の一つです。特に、周囲に誰もいないのに誰かと話しているような独り言や振る舞いが頻繁に見られる場合、レビー小体型認知症が原因の可能性があります。
せん妄
せん妄とは、突然意識や認知が混乱する状態で、高齢者や認知症の方に多く見られる精神障害の症状です。自分の置かれている状況が理解できなくなり、筋の通らない意味不明の話をするなどの特徴があります。特に、夜間の独り言や、自分の今の状況を正しく認識できていない発言が目立つ場合、せん妄が原因の可能性があるでしょう。
認知症の独り言に対処するときの4つのポイント
本人の安心感や症状の緩和につなげるためにも、認知症の独り言には適切に対応することが重要です。しかし、どう対応をすればよいかわからないというケースもあるかもしれません。ここでは、対応する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。

強く注意しない
「うるさい」と感情的に叱ったり、「おかしなことを言っている」と強く指摘したりするのは避けましょう。強い注意は本人の不安や混乱をさらに強め、最悪の場合は怒りや反発を招き、信頼関係が悪化することもあります。まずは本人の気持ちに寄り添い、落ち着いて見守る姿勢が大切です。
安心感を与える環境を作る
認知症の方は、不安やストレスから独り言が増えることがよくあります。こうした不安を和らげるためには、安心できる環境を整えることが大切です。室内を明るく保つ、過度な刺激を避けるなど、落ち着いた空間を整えることで不安や混乱が緩和されます。また、共感を示す、話に耳を傾けるといった姿勢も必要です。
生活リズムを整える
生活リズムの乱れも独り言が増える原因になる場合があります。そのため、毎日同じ時間に起床・就寝・食事を行うなど、規則正しい生活習慣を意識することが重要です。特に夜間に独り言が多い場合は、生活リズムを整えることで症状の緩和が期待できます。日中は適度に体や頭を使う活動を取り入れるなどして、夜間によく眠れるよう工夫しましょう。
体が温まるものを口に入れる
温かい飲み物を口にすると不安が和らぎ、飲食に集中することで独り言が減る傾向があります。特に牛乳やココアは、心を落ち着かせる作用があるとされており、効果が期待できます。ただし、本人の好みに合わせて、無理なく取り入れることが大切です。
認知症の方とのコミュニケーションにおける注意点
認知症の独り言への対応も含め、認知症の方と接する際は本人の気持ちや状況に寄り添う姿勢が大切です。ここでは、不安や混乱を和らげるためのコミュニケーションの工夫についてみていきましょう。
適切な言葉遣いとペースを意識する
認知症の方には、丁寧で穏やかな言葉遣いを心がけ、不快感を与えないよう配慮しましょう。理解力や集中力が低下していることがあるため、ゆっくりとした話し方や、本人の反応に合わせて会話のペースを調整することで、安心感を持ってもらえます。
×…こういう言葉遣いがダメな例 「何度も同じこと言ってるよ」
〇…こういう言い方を使用 「教えてくれてありがとう」
非言語コミュニケーションを使用する
言葉だけでなく、表情や視線、やさしいタッチなどの非言語コミュニケーションも大切です。笑顔やうなずき、手をそっと握るなどのスキンシップは、安心感や信頼感を伝えやすく、記憶にも残りやすい特徴があります。ただし、相手が不快に感じない距離感やタイミングに十分配慮しながら行いましょう。
認知症の独り言に関するよくある質問
認知症による独り言で疑問や不安を感じている家族や介護者の方も多いかもしれません。ここでは、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。参考にしてみてください。
Q認知症による独り言は予防できますか?
認知症による独り言の頻度を減らすための対策はいくつかあります。主な方法として、「内言語機能(思考を内側でまとめる力)」を高めるために、読書などでまとまった文章に触れる習慣を持つことが効果的とされています。また、生活リズムを整えたり、安心できる環境を整備したりして、不安や混乱を和らげることも大切です。
Q認知症による独り言なのかどうかを判断する
ポイントはありますか?
認知症による独り言は、意味のない言葉を繰り返している、誰もいないのに会話をしているような様子がある、夜間に増える傾向があるといった点が特徴です。また、1日に何度も同じ行動が見られる場合は、認知症による独り言の可能性があります。
Q認知症による独り言の対処に疲れたら
どうすればよいでしょう?
介護者が疲れを感じたときは、無理をせず周囲の家族や専門機関などに相談し、サポートを受けることが大切です。自分一人で抱え込まず、休息や気分転換の時間を確保しましょう。介護サービスの利用や環境調整も、介護者自身の負担軽減に役立ちます。
信頼関係を築きながら認知症の方が安心できる環境づくりを
認知症による独り言は、認知機能の低下や不安、孤独感などさまざまな要因が重なって現れます。大切なのは、頭ごなしに否定せず、本人の気持ちに寄り添いながら、安心できる生活環境や安定した生活リズムを整えることです。
家族や介護者がお互いに協力し合い、ときには専門サービスなども活用しながら対応することが、本人の精神的な安定と信頼関係の構築につながります。
認知症の独り言や周辺症状への対応に悩んだときは、最新の研究や認知症ケアのヒントを参考にしてみてはいかがでしょうか。ご自身やご家族のケアの選択肢を広げるためにも、ぜひチェックしてみてください。