04認知症コラム
認知症検査にはどんな種類がある?
内容や費用、検査の流れも解説
2026.01.30
認知症は、高齢者を中心に発症する病気の一つであり、早期の検査と診断が重要です。この記事では、認知症を疑う症状で病院を受診した際に受ける検査の種類や内容、費用、何科を受診するかなどを詳しく解説します。
認知症かも?と思ったら検査を受けるべき理由
もし、「認知症かも?」と感じることがあるなら、迷わず検査を受けてみることをおすすめします。これには以下のような3つの理由があります。
症状の原因を早めに見極めるため
認知症は徐々に進行するのが特徴で、代表的な症状に記憶力の低下があります。これが加齢によるものか、認知症の初期症状なのかは見た目だけで判断できません。原因を見極め、治療を開始するには重要です。
自分や家族が「認知症では」と感じたら、できるだけ早く検査を受け、必要な支援や治療につなげましょう。原因がわからないまま放置すると、対応が遅れ生活に支障が出るかもしれません。
進行を遅らせる対策につなげるため
認知症は初期段階であれば、生活習慣の改善や社会参加によって進行を緩やかにできる可能性があります。さらに、認知症の一歩手前の「軽度認知障害(MCI)」の段階で対応すれば、発症そのものを遅らせられる場合もあります。
検査結果をもとに薬物療法や生活支援などの対策を早めに始めることで、本人の生活の質を保ちやすくなるでしょう。
本人と家族が安心して向き合うため
認知症の検査を受けて状況がはっきりすれば、本人と家族が抱える「漠然とした不安」が軽減されます。仮に「認知症ではなかった」という結果でも、それが安心材料になるでしょう。
また、どのような結果であれ、検査を受けることで家族は「今後本人をどう支えていくか」を考える機会を得られ、心の準備ができます。
認知症の検査を受けたいときは何科を受診する?
まずはかかりつけ医の受診を
認知症の検査を受けたいときは、まずはかかりつけの医療機関に相談しましょう。その上で専門医の受診が必要な場合は、かかりつけ医からの紹介状があると病歴や内服薬などを伝えてもらえてスムーズに受診できます。
かかりつけ医がいない場合は、脳神経内科や脳神経外科、精神科、心療内科、老年病科などを受診して相談するようにしましょう。
しかし、お住まいの地域によっては対応可能な医療機関がない場合もあります。その場合は、住んでいる地域の地域包括支援センターに相談すると対策を教えてもらえることがあります。
認知症の検査の流れ
認知症の疑いがあり病院を受診した際は、問診、身体診察、認知症検査の順で進んでいきます。病院を受診してから認知症検査を受けるまでの流れを確認しましょう。
STEP1問診
病院を受診したらまず問診票に症状や持病、既往歴などを記入します。その後に医師からの問診と診察が行われます。問診の際は、一般的に病歴や現在の状態など次のような内容について聞かれるでしょう。
- いつごろから、どのような症状があるか
- 日常生活にどのような支障をきたしているか
- 病歴や内服薬はあるか
認知症で記憶力が低下していると本人が正確に伝えることが難しい場合もあるので、家族や付き添いの方が答えられるように準備をしておくのがおすすめです。
STEP2身体検査
身体検査では、聴診や触診、神経学的な異常がないか神経診察が行われます。また、甲状腺機能低下症が認知症の原因となることもあり、甲状腺の触診も重要な診察です。
そのほかに、血液検査やレントゲン検査、心電図検査などを行う場合もあります。生活習慣病の有無などの健康状態や、認知症とは別の病気の可能性がないかを調べるために必要な検査です。
STEP3認知症検査
認知症検査は大きく分けると「神経心理学的検査」と「脳画像検査」の2種類に分類されます。「神経心理学的検査」と「脳画像検査」はそれぞれいくつかの種類があります。認知症検査の種類については次章で詳しく説明します。
神経心理学的検査
神経心理学的検査は、主に口頭での質問に答えたり、紙や各種道具、コンピュータなどを用いて図形や絵を描いたりする形式の検査です。認知症での知能・記憶・言語などの機能障害を数値化して客観的に評価するための検査で、医師や心理職が患者と1対1で実施します。
改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
記憶を含めた認知機能について調べる検査で、9つの質問から構成されています。それぞれの質問には1~6点が付けられており、計30点満点です。点数が20点以下の場合に「認知症の疑いがある」とされます。
ミニメンタルステート検査(MMSE)
時間、場所の見当識、3単語の即時再生と遅延再生、計算、物品呼称、文章復唱、3段階の口頭命令、書字命令、文章書字、図形模写の計11項目から構成される30点満点の認知機能検査です。MMSEでは23点以下が認知症疑いと判定されます。
時計描画テスト(CDT)
時計の絵と、指定された時刻に針を配置する描画検査です。評価は時計の絵の構成や、その時計に併せて描く指定された時刻の適正度から行います。「時計の絵を描く」という年齢や教育歴の影響を受けにくい検査なので、検査に対する抵抗が比較的少ないことが特徴です。
ABC認知症スケール(ABC-DS)
日本の研究者が開発したアルツハイマー型認知症の進行度合いについて調べる検査です。本人ではなく家族や介護者から日常生活の動作・行動・心理症状について質問を行い、9段階で評価を行います。
日常生活動作、精神症状、記憶障害、見守り時間などから家族や介護者が評価します。満点は117点で、117点〜101点が健常または認知症疑い(MCI)、100点〜86点が軽度、85点〜71点が中等度、70点以下が重度の認知症です。
Mini-Cog
Mini-Cogは3つの単語を思い出したり、時計を描いたりする能力を評価する簡単な認知機能検査方法です。Mini-Cogでは2点以下が認知症疑いとされており、比較的精度が高くMMSEと同様の妥当性を有するとされています。
MoCA(Montreal Cognitive Assessment)
MoCAまたはMoCA-J(Japanese version of MoCA)は視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識からなり、軽度認知障害をスクリーニングする検査です。MoCAは25点以下が軽度認知障害と診断されます。
DASC-21
DASC-21は認知機能障害と生活機能障害に関連する行動の変化を評価する尺度で、介護職員やコメディカルでも施行できる21の質問からなります。また、DASC-21は臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating, CDR)と相関があり、その妥当性が報告されています。
脳画像検査
脳画像検査では脳の形態や機能を画像化します。形態画像診断(CT、MRIなど)と、脳の機能を調べる機能画像診断(脳血流SPECTなど)の大きく分けて2種類あり、それぞれわかることが異なります。
CT
X線を使用して頭部を輪切りにしたような断層画像を映し出す検査です。脳の形態的な異常や血腫、腫瘍、脳梗塞の有無などを検出できます。認知症の原因を特定するのに利用されます。
MRI
強い磁力と電磁波を使って脳の断層画像を撮影する検査です。頭部MRIは脳の萎縮の状態や脳血管障害の有無を調べられます。頭部MRA検査では脳の血管を撮影し、主に脳血管疾患の発見に役立ちます。小さい脳梗塞が多くなると脳血管性認知症が現れる場合があります。
SPECT
SPECTは脳血流量を調べる検査です。微量の放射性物質を含む薬を注射し、数時間後の薬剤の分布状態から脳の働きを調べる検査です。人体臓器の生理学的な機能情報を画像化できます。
PET
PETはSPECTでわかる脳血流量のほか、酸素消費量やブドウ糖消費量も調べることができる検査です。放射性物質であるトレーサーを体内に投与し、そのトレーサーが集まる場所を検出することで、異常な組織や代謝の変化を可視化します。
認知症の検査にかかる費用
認知症の検査にかかる費用は、一般的に数百円から30,000円程度とさまざまです。これらの検査は基本的には健康保険が適用され、自己負担割合によって費用が異なります。神経心理学的検査は比較的安価で、3割負担の場合、数百円から1,000円程度で受けられます。
一方で、CTやMRIの費用は、3割負担の場合、4,000円から9,000円程度です。脳画像検査の中でSPECTは最も費用が高くなることが多く、30,000円程度かかります。
| 検査の種類 | 費用 ※健康保険適用の場合 |
|---|---|
| 神経心理学的検査 | 数百円~1,000円程度 |
| 脳画像検査 | 4,000円~9,000円程度 |
認知症の検査を受ける際にすべきこと
認知症の診察・検査を受ける際は問診で聞かれることを事前に確認しておくと診察がスムーズです。以下で、受診の前にすべきことを説明しますので確認してください。
普段の様子を記録しておく 心の準備をしておく 診断結果を聞くときは家族も同行する 必要に応じてセカンドオピニオンを検討する
普段の様子を記録しておく
前述したように、問診の際に症状について詳しく質問されることがほとんどです。本人が十分に記憶できていないケースも多いので、家族や付き添いの方は、普段の様子や気になる点などを記録しておくようにしましょう。また、正確に伝えるためにも記録した情報を整理しておくことが大切です。
心の準備をしておく
事前に認知症について正しく理解し、認知症と診断されたときに備えて心の準備をしておくとよいでしょう。最近では認知症に関する基礎知識や、認知症の人との接し方などさまざまなテーマの本が販売されています。これらの情報をもとに知識をつけておくことで、全く知識がない状態で受診するよりも認知症に対する不安感がやわらぎます。
診断結果を聞くときは家族も同行する
認知症と診断された場合、本人はショックを受けるのが一般的です。診断結果を聞いて頭が真っ白になってしまい、医師の説明が頭に入らないということもあります。本人が落ち着いて説明を聞くことが難しい場合を想定して、しっかり説明を聞けるよう家族が同行しましょう。
必要に応じてセカンドオピニオンを検討する
認知症への対応には、医師との信頼関係が欠かせません。診断結果の説明や対応方法は医師や医療機関によって異なるため、もし納得できない点があれば、セカンドオピニオンの活用も検討しましょう。納得して治療を進められる医師を見つけることが大切です。
認知症と診断された場合に家族ができる3つの対応策
家族が認知症と診断されれば、戸惑う人も少なくありません。ここでは、認知症と診断された場合の家族ができる対応策について説明します。今後の生活を支えていくため役に立つことでしょう。
認知症について理解を深める
家族が認知症と言われたら、今後病気が進行していく中で予想される症状や、ケアの方法などをあらかじめ理解しておくことが大切です。将来を見越して心の準備ができれば、不安の軽減にもつながります。本やインターネットでの情報収集だけでなく、気になることは直接担当医に聞いてみるのもよいでしょう。
サポート体制を整える
認知症が進行していくと、家族だけでは支えるのが難しくなることも考えられます。そのような場合には、介護保険制度などを活用することで経済的・精神的な負担を減らせます。ケアマネジャーや介護職、看護師などの専門職による支援や、介護サービスを受けることで本人の生活の質も保ちやすくなるでしょう。
- 具体的な対応策
-
- 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談して、必要なサービスを整理する
- 通所・訪問・入所など、本人の状態や希望に合った支援を選ぶ
- 介護保険制度や認知症保険を使って費用面の負担を軽減する
生活環境を見直す
認知症のある人は、記憶力や判断力の低下により、日常の安全や自立が損なわれやすくなります。そのため、本人にとってわかりやすく安心できる生活空間を作ることが重要です。環境の変化や複雑な動線は混乱を招きやすいため、シンプルで安定した環境を心がけましょう。
- 具体的な対応策
-
- よく使う物は手の届く場所にまとめ、動線をシンプルにする
- カレンダーやメモを目につく場所に貼り、予定や手順を見える化する
- コンロに自動消火装置をつけるなど、事故を防ぐ仕組みを取り入れる
認知症の検査に関するよくある質問
認知症かどうかを調べる検査について、よくある質問とその回答を以下にまとめています。認知症の検査に関して興味があるという方はぜひ参考にしてみてください。
検査を受ければ認知症かどうか確実にわかりますか? 家族が本人に内緒で検査の予約をしても問題ないですか? 健康保険が適用できない検査の種類はありますか? 認知症かどうかをセルフチェックする方法はありますか?
Q検査を受ければ認知症かどうか確実にわかりますか?
認知症を100%確実に診断するには、脳の細胞を直接調べる必要がありますが、実際にはそれは困難です。そのため医療現場では、いくつかの検査を組み合わせて診断します。具体的には、記憶力や判断力を測る検査、脳の状態を画像で確認する検査などを行い、他の病気の可能性も確認したうえで、総合的に認知症かどうかを判断します。
Q家族が本人に内緒で検査の予約をしても問題ないですか?
予約自体は問題ありませんが、本人の同意を得ずに受診させるのは避けましょう。本人が納得していないと検査がうまく進まず、信頼関係も損なわれます。健康診断として誘う、かかりつけ医から勧めてもらうなど、本人が安心して受けられる方法を工夫することが大切です。
Q健康保険が適用できない検査の種類はありますか?
基本的に認知症の検査は健康保険が適用されます。ただし、MCIスクリーニング検査やPET検査は保険適用外となり、費用は数万円から数十万円と幅があります。検査を受ける前に、医療機関で費用や検査内容について十分に確認することが大切です。
Q認知症かどうかをセルフチェックする方法はありますか?
下記のリンク先にあるようなリストを活用して、簡易的なチェックができます。ただし、セルフチェックは医師の診断とは異なり、あくまでおおよその目安です。受診するかどうか迷ったら、活用してみるのもよいでしょう。
参考:とうきょう認知症ナビ「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」
早めの検査で認知症を早期発見しよう
紹介したように、認知症は早期発見し介入することで、進行をゆるやかにできます。そのためには、「認知症かな?」と感じたら早めに検査を受けることが大切です。まずは、かかりつけ医に相談してみることから始めましょう。気に掛けてくれるご家族のためにも、早めの受診をおすすめします。
認知症の治療や進行を抑えるための取り組みについては、日々研究が進められています。「ガンマ波テクノロジー 認知機能ケア啓発プロジェクト」では、五感ケアや音刺激、ガンマ波を用いた認知機能改善や予防に関する情報をご紹介しています。最新の研究についてご興味のある方は、下記のリンクも併せてご覧ください。