健康コスパで選ぼう!

エクストラバージンオリーブオイルVSごま油
05

食用油アイコン 「健康コスパ」を徹底比較食用油編

「健康コスパ」で選ぶならどっち? エクストラバージンオリーブオイルVSごま油

COOKING OIL

食用油イラスト

油は全身の細胞を覆う“細胞膜”にとっても不可欠

オリーブオイル、ごま油、米油、なたね油、アマニ油、えごま油 … …。さまざまな種類の中から、みなさんはどのように食用油を選んでいますか。

以前は“油=健康に悪いもの”というイメージをお持ちの方もいたかもしれませんが、最近では“健康なカラダ作りのためにバランス良く油を摂る”という意識が広まりつつあります。
ではなぜ、油は健康に不可欠なのでしょうか。

健康コスパとは
健康を軸にしてコストパフォーマンスを見る、健康に特化した指標。食品にどのような栄養素がどのくらい含まれており、得られる価値やメリットがどのくらいあるのかを表しています。

脂質は、三大栄養素のひとつでエネルギー源となるだけでなく、全身の細胞を覆っている細胞膜の主要な構成成分でもあります。
つまり油は、カラダを作るうえで不可欠な栄養素なのです。

ただし、大切なのはどのような油をどれくらい摂るのかということ。油にはそれぞれ種類によって役割があり、その健康効果も異なります。

今回はさまざまな種類の油の中から、「エクストラバージンオリーブオイル」と「ごま油」の「健康コスパ」「コスパ」「タイパ」「食品特性」を比較します。


「健康コスパ」のポイントは
酸化しにくいかどうか

管理栄養士の浅野まみこさんに「健康コスパ」「コスパ」「タイパ」「食品特性」の4つの軸で、「エクストラバージンオリーブオイル」と「ごま油」を比較していただきました。

健康コスパアイコン健康コスパ

エクストラバージンオリーブオイル5

ごま油3

脂肪酸は、一般的に牛や豚、鶏、バターなどの動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸と、植物油や魚油などに多く含まれる不飽和脂肪酸に大きく分けられます。さらに不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸n-9系と必須脂肪酸である多価不飽和脂肪酸に分けられ、多価不飽和脂肪酸は、n-3系とn-6系に分けられます。

エクストラバージンオリーブオイルは、n-9系一価不飽和脂肪酸(オメガ9)のオレイン酸を豊富に含み、酸化に強いことが特徴です。オレイン酸には、HDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らし、コレステロールのバランスを改善する効果が期待できます。

エクストラバージンオリーブオイル vs ごま油

また、オリーブの実を絞っただけのエクストラバージンオリーブオイルには、クロロフィルなどをはじめ多くのポリフェノール類、ビタミンEなどの抗酸化物質が多いのも特徴です。

一方ごま油は、多価不飽和脂肪酸の中のn-6系(オメガ6)のリノール酸を多く含みます。

ごま油は、リノール酸によるコレステロール低下作用、脂肪酸の代謝促進などが期待できるほか、ゴマリグナンやビタミンEなどの抗酸化物質が含まれていますが、一般的にサラダ油などからリノール酸を摂りすぎる傾向があるため、摂取量には注意が必要です。

多価不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸に比べて酸化しやすい性質があります。

酸化した油の摂取は、活性酸素の発生につながり、細胞を傷つける原因にもなりますので、油は酸化させないことが大切です。

それぞれに健康効果はありますが、“酸化のしにくさ”という点で、エクストラバージンオリーブオイルの方が健康コスパは高いといえます。

コスパアイコンコスパ

エクストラバージンオリーブオイル3

ごま油4

エクストラバージンオリーブオイルは、価格差が大きく、こだわればこだわるほど価格が高額になるため、コスパとしては3の評価に。
一方ごま油は安定的な価格帯で売られているため4に。

タイパアイコンタイパ

エクストラバージンオリーブオイル3

ごま油4

どちらも、スーパーやコンビニで購入可能ですが、どちらかというとごま油の方が扱っている店舗が多いため4に。
エクストラバージンオリーブオイルは、種類や産地などのこだわりがあると売り場が限られてしまい、入手しにくい場合もあります。

食品特性アイコン食品特性
(香りの強さ)

エクストラバージンオリーブオイル5

ごま油5

どちらも香りの強さという点では5に。エクストラバージンオリーブオイルもごま油もしっかりとした香りと味わいが楽しめるオイルの代表格といえます。


今回は料理に使いやすく、常備しているご家庭も多い「エクストラバージンオリーブオイル」と「ごま油」を比較しました。

香りや味わいが大きく異なるため、料理で使い分けることが多い「エクストラバージンオリーブオイル」と「ごま油」。「健康コスパ」という軸で見ると、どちらにも素材に含まれる機能を持つ成分による健康効果は多数あるものの、脂肪酸の種類の差による“酸化”という点で、差があることがわかりました。味や香り、価格だけでなく、油の脂肪酸の種類や成分を意識してみると、また違ったとり入れ方ができるかもしれません。

5回にわたって、違いのわかりにくい2つの食品同士を、4つの視点で比較してきました。

コスパやタイパ、好みだけでなく、「健康コスパ」という視点をプラスすると、意外な健康効果の差に気がつくことができ、商品選びに変化がうまれそうです。

もし何を買うか悩んだときは、「健康コスパ」も比較してみてはいかがでしょうか。

監修アイコン監修

浅野まみこさん

管理栄養士

総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに1万8千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、現在は、健康経営サポート、レシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。メディア、雑誌にも多数出演。具体的な食品を使った実践型栄養アドバイスをモットーに活動をしている。