04認知症コラム
認知症で施設に入所するお金がないときは?
対処方法や活用できる制度を紹介
2026.04.30
「認知症の家族を施設に入れたいがお金がない」と不安を抱えている方は少なくないのではないでしょうか。施設への入所には初期費用や月額費用がかかりますが、条件を満たす場合は、生活保護や高額介護サービス費制度など負担を軽減できる仕組みもあります。本記事では、施設の費用内訳や相場、お金がないときの対処法、活用できる制度までをご紹介します。
認知症の方が施設に入所するときに
かかる費用の内訳
認知症の方を施設に入所させるにあたり、どのような費用が発生するのか不安に感じている方は多いでしょう。まずは全体像を押さえ、支払いの仕組みを理解することが大切です。
初期費用
施設に入所する際には、まず契約時に支払う初期費用がかかります。初期費用の内訳は主に入居一時金や敷金、保証金などです。
施設形態や立地条件によって金額には差がありますが、特別養護老人ホームやグループホーム、ケアハウスは比較的低価格な場合があります。また、近年は入居一時金が不要な施設も増えています。
月額費用
月額費用は毎月継続して支払う費用です。内訳は主に家賃や食費、管理費、介護サービス費などが中心です。主な費目は施設や契約内容によって異なります。具体的な費目や金額は、施設の種類や契約内容によって異なり、要介護度が高い場合は費用が増えることがあります。
その他費用
月額費用とは別に不定期に発生するそのほかの費用もあります。具体的にはオムツ代や理美容代、レクリエーション費など、個人によって利用有無や頻度が異なるものが挙げられます。これらは施設ごとに金額が異なり、月額費用に含まれないケースが多いです。
また、医療的ケアが必要な場合、追加費用が増えることもあります。契約前に実費項目を必ず確認しておきましょう。
認知症の方が入居できる施設と金額の目安
認知症の方が入居できる施設には、公的施設から民間施設までさまざまな種類があり、初期費用や月額費用の水準も大きく異なります。
特別養護老人ホームのように初期費用が不要で比較的安価な施設がある一方、介護付き有料老人ホームは手厚い介護体制が整っている分、費用が高めです。グループホームやサービス付き高齢者住宅など中間的な価格帯の選択肢もあり、本人の状態や家族の希望に合わせて検討することで、無理のない範囲で選択の幅が広がります。
| 施設の種類 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 原則不要 | 旧型5~16万 新型15~22万 |
| 介護付き有料老人ホーム | 0〜数千万 | 15万~30万 |
| グループホーム | 0〜50万 | 12~25万 |
| サービス付き高齢者住宅 | 10~20万 | 5~20万 |
認知症で施設に入所するお金がないときの主な対処法
認知症で施設入所を検討しているものの、費用面の不安から踏み出せないケースもあるかもしれません。しかし、経済的に厳しい場合でも施設を利用するための手段はあります。ここでは、お金がない場合でも施設を利用するための主な手段をご紹介します。
地域包括支援センターに相談する
金銭面に不安がある場合は、まず地域包括支援センターに相談しましょう。地域包括支援センターは無料で利用でき、市区町村が設置する公的な総合相談窓口として中立的な立場で助言を受けられます。
地域の制度や利用可能な介護サービス、費用を抑えられる施設情報の提供に加え、生活保護や特定入所者介護サービス費の申請をサポートしてもらうことも可能です。
- 地域包括支援センターとは…
- 高齢者の総合相談窓口として各市区町村に設置されている公的機関です。その地域に住む65歳以上の方とその家族が利用できます。保健師や社会福祉士、主任ケアマネージャーなどが在籍し、介護サービスの利用調整や制度の案内、費用負担を軽減できる公的支援の紹介などを行っています。
入居一時金がかからない施設を探す
入居一時金がかからない施設を選べば、初期費用を大きく抑えて入所することが可能です。
最近は「入居一時金ゼロ」や「敷金のみ」で利用できる施設も増えており、月額利用料だけで契約できるケースもあります。一般的な有料老人ホームでは数千万円の入居一時金が必要な場合もあるため、こうした施設を選ぶことで負担を大幅に軽減できます。
入居一時金がないからといってサービスの質が低いわけではありませんが、必要な支援が受けられるか事前に確認しておくと安心です。
金銭的負担が少ない施設や地方の施設を探す
費用を抑えたい場合は、地方の施設や金銭的負担の少ない施設を選ぶことで、月額費用を大きく下げられます。都市部は施設費用が高い傾向にありますが、地方には比較的安価な施設が多く、家族が通える範囲で候補を広げることで選択肢が増えます。
また、相部屋や築年数の古い施設は費用が抑えられやすく、特別養護老人ホームやケアハウスなど公的色の強い施設も比較的安価です。複数地域で空き状況を確認しつつ、住民票の条件がある施設は事前に確認しておきましょう。
リバースモーゲージを検討する
リバースモーゲージを活用すれば、自宅に住み続けながらまとまった資金を確保できるため、施設入所費用や介護費用をまかなえます。
また、不動産を売却して同じ家へ賃貸で住み続けるリースバックというサービスで資金を確保する方法もあります。
ただし、いずれも対象地域や物件条件、金利変動リスクなど注意点も多いため、金融機関や自治体の制度内容をよく確認することが重要です。
- リバースモーゲージとは…
- 自宅を担保に金融機関から融資を受け、契約者の死亡後に自宅を売却して一括返済する仕組みです。自宅に住み続けながら資金を確保できる点が特徴です。
費用負担を軽減できる制度を活用する
施設への入所費用の負担を軽減できる公的制度を利用すれば、自己負担額を大きく抑えられる場合があります。ただし、所得や資産状況など一定の条件を満たす必要があります。利用できれば詳しい制度内容はこのあとみていきましょう。
認知症の方が施設に入所する時に
費用負担を減らす制度
認知症の方が施設に入所する際にはまとまった初期費用や月々の諸費用が必要となり、金銭的事情で利用をためらうケースもあるかもしれません。しかし、そうした経済的負担を軽減できる公的制度もいくつか用意されています。
生活保護
生活保護は、国が国民の最低限度の生活を保障する制度です。生活保護を受給している場合、施設入所費用や医療費の多くが公費で賄われます。介護施設の利用も可能です。
受給の可否は、年金や預貯金などの資産や所得をもとに総合的に判断して決められます。自動的に受給判定されるわけではなく申請が必要なので、生活が苦しい場合は早めに福祉課へ相談することが大切です。
参考:厚生労働省「生活保護制度」
高額介護サービス費制度
高額介護サービス費制度は、介護保険サービスの自己負担額が一定上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
所得に応じて上限額が定められており、その額を超えた分が払い戻されます。施設に入所するとサービス利用量が増えやすいため、自己負担が高額になりがちですが、この制度によって月々の負担を一定範囲に抑えられます。
ただし、居住費や食費、日常生活費は対象外のため注意が必要です。
特定入所者介護サービス費
特定入所者介護サービス費は、施設入所時の食費や居住費の負担を軽減する制度です。所得が低い方を対象としており、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など幅広い施設で利用できます。
この制度を利用すれば、自己負担額が下がり、経済的に不安があっても介護施設へ入居しやすくなるでしょう。
認知症の方を施設に入所させる
お金がない場合に関するよくある質問
認知症の家族を施設に入所させるにあたって費用の心配は避けては通れない問題ですが、わからないことや不安な点も多いでしょう。ここでは、入所費用や制度利用に関してよくある質問とその回答をまとめましたので参考にしてください。
費用が安い施設を選んだ場合介護の質が下がることはないですか? 初期費用が安い施設でも後から追加費用が発生するケースはありますか? 医療費控除や高額介護サービス費制度を使うと実際にどれくらい負担が軽くなりますか? そもそも介護費用はどのくらいかかりますか?
費用が安い施設を選んだ場合介護の質が下がることはないですか?
費用が安い施設が、必ずしも介護の質が低いとは限りません。介護施設は法令で人員配置基準が定められており、一定水準の体制は確保されています。また、費用差は立地や建物コストなど運営条件による部分も大きく、価格だけで質を判断することはできません。重要なのは、本人や家族が必要としているサービスを十分受けられるか確認することです。
初期費用が安い施設でも後から追加費用が発生するケースはありますか?
はい、追加費用が発生することがあります。初期費用が安くても、月額費用や医療対応費、オプションサービス料などが積み重なり、総額では高くなる場合も考えられます。初期費用の額だけで判断せず、月額費用と想定される追加費用を含めた総額で比較することが重要です。
医療費控除や高額介護サービス費制度を使うと実際にどれくらい負担が軽くなりますか?
医療費控除は、年間の医療費から保険金などで補填される額と10万円(※所得が200万円未満の場合は所得の5%)を差し引いた金額を、所得から控除できます。上限は200万円です。
高額介護サービス費制度は、所得によって自己負担上限が異なります。一般的な所得世帯で月約4万4,400円が自己負担上限となり、それを超えた分が払い戻されます。
そもそも介護費用はどのくらいかかりますか?
介護費用は介護度や介護サービスの利用形態、利用する場合は施設の種類などによって大きく異なります。施設を利用する場合は月10〜40万円、在宅では訪問介護やデイサービス利用で月5万円〜10万円前後が目安です。医療費や日用品費は別途かかるため、総合的な費用の把握が重要です。
認知症の施設入所は工夫次第で
費用の不安を乗り越えられる
認知症の方を施設に入所させる際は、費用が心配でも、工夫や制度の活用によってお金がなくても入所を実現できる可能性があります。
そのためには、相談先の活用や費用のかからない選択肢を幅広く検討し、状況に合った方法を組み合わせて入所までの道筋を具体的に整えていくことが大切です。
入所後の生活やケアとあわせて、認知機能の維持・改善に関わる情報にも目を向けておくと、より安心して日々の暮らしを支えられます。「認知機能ケアプロジェクト」では、脳波の一種であるガンマ波が認知機能に良い影響を与える可能性についての記事など、最新研究の情報を配信しています。ぜひチェックしてみてください。