04認知症コラム
認知症の方の運転免許は更新できる?
75歳以上に必要な認知機能検査も解説
2026.03.30
75歳以上の方が運転免許を更新する際は「認知機能検査」が必須となり、認知症と診断された場合、免許の取消し・停止となる可能性があります。本記事では、高齢者が運転免許を更新する際に行われる認知機能検査の内容や仕組み、判定結果ごとの対応について解説します。さらに、認知症の方に運転免許の返納を促す方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
認知症の方は免許更新を更新できる?
認知症であると判明した段階で
免許の取消し等が行われる
道路交通法103条1項では、認知症であると判明した場合、運転免許は取り消し、または停止されると定められています。正式な認知症診断に至っていない軽度認知障害(MCI)の場合、免許の更新は行えますが、判断力や注意力の低下が懸念されるため、半年ごとに検査を行わなければなりません。
なお、認知症と診断されたにもかかわらず免許の取消・停止申請を行わなかった場合でも、直ちに処罰対象にはなりません。しかし、万が一事故を起こした場合には、申請をしていなかったことが過失や責任として問われる可能性があります。
免許更新の際の認知症かどうかの判断の仕方
75歳未満の場合、免許更新の際に認知症かどうかの判断は原則行われません。一方、75歳以上では免許更新時に認知機能検査の受検が必須となり、その結果をもとに認知症のおそれがあるかどうかが判定されます。
75歳以上が免許更新の際に受ける認知機能検査の内容や仕組み
認知機能検査とは、高齢ドライバーの記憶力や判断力を確認し、運転に必要な認知機能が保たれているかを測定する検査のことを指します。ここでは、その認知機能検査の内容と仕組みをみていきましょう。
認知機能検査の対象者と目的
- 対象者
-
- 運転免許証の更新期間が満了する日(誕生日の1ヵ月後の日)の年齢が75歳以上の方
- 特定の交通違反をした75歳以上の方
箇条書きの内容を含め150~200文字程度で記載
- 75歳以上になると、記憶力や判断力の低下が事故につながる可能性が高まるため、運転に必要な認知機能が保たれているかを確認する目的で実施される
- 本人の自覚だけでは気づきにくい認知機能の変化を早期に把握し、安全に運転を続けられるかどうかを客観的に判断する役割がある
認知機能検査は、75歳以上の高齢ドライバーを対象に実施されます。年齢とともに記憶力や判断力が低下すると事故につながる可能性が高まるため、運転に必要な認知機能が維持されているかを確認する目的があります。
また、本人の自覚だけでは気づきにくい認知機能の変化を早期に把握し、安全に運転を継続できるかどうかを客観的に判断することも意図しています。
認知機能検査で行われる検査項目
認知機能検査は、記憶力と時間の見当識を確認する2つのテストで構成されています。
| 検査項目 | 検査の概要 |
|---|---|
| 手がかり再生 | 提示されたイラストを覚え、後から思い出せるかを確認するテスト |
| 時間の見当識 | 年月日・曜日・時間などを答えるテスト |
手がかり再生
手がかり再生は、記憶力を確認するテストです。提示されたイラストを一定時間後に思い出せるかを確認し、記憶力の状態を評価します。
記憶力の低下は、運転中の標識の見落としや状況判断のミスや遅れにつながるため、運転を継続できるかどうかを判断する重要な材料となります。
時間の見当識
時間の見当識は、現在の日付や曜日、時間を正しく把握できているかを確認するテストです。時間感覚が保たれているかを評価し、認知機能の状態を判断します。
時間の把握が難しくなると、運転中の状況判断や対応に影響する可能性があるため、運転能力を評価するうえで重要な指標とされています。
認知機能検査の流れ
対象の方は、免許の更新時期が近づくと警察から「認知機能検査受検の案内」が届くので、記載された期間内に検査の予約を行います。
当日は受付後に検査を受け、終了後に採点が行われたあと「認知症のおそれがある/ない」の判定が出ます。その検査結果に応じて、「講習のみで免許更新できるか」「医師の診断が必要か」が決まるという流れです。
参考:警察庁「認知機能検査について」
- STEP1通知
- STEP2予約
- STEP3検査
- STEP4結果判定
認知機能検査の判定結果ごとに異なる
免許更新の対応
認知機能検査の結果によって、免許更新時の対応は大きく2つに分かれます。認知症のおそれがない場合は講習のみで更新できますが、認知症のおそれがある方は追加で医師の診断が必要です。
| 認知機能検査の判定 | 必要な手続き |
|---|---|
| 「認知症のおそれがある方」 | 専門医の診断書の取得 + 高齢者講習の受講 |
| 「認知症のおそれがない方」 | 高齢者講習の受講 |
「認知症のおそれがある方」
「認知症のおそれがある方」とは、認知機能検査の結果、記憶力や時間の見当識に大きな問題が見られ、認知症の可能性が高いと判断された方です。この場合、高齢者講習のみで免許更新はできず、医師の診断書を提出し、運転に必要な能力が保たれているかを医学的に確認する必要があります。
医師が認知症と診断した場合は、道路交通法に基づき免許の取り消しあるいは停止といった行政処分が行われます。
「認知症のおそれがない方」
「認知症のおそれがない方」とは、認知機能検査の結果、記憶力や時間の見当識に問題がなく、運転に必要な認知機能が保たれていると判断された方です。
この場合、医師の診断書を提出する必要はなく、通常どおり高齢者講習を受講すれば免許更新が可能です。ただし、加齢による認知機能の変化は誰にでも起こり得るため、今後も運転状況の見守りや定期的な健康チェックの継続が欠かせません。
参考:警察庁「高齢運転者対策の概要」
認知症の方に運転免許の返納を
促すための方法
認知症の方に運転免許の返納をすすめる場面では、本人や家族にとって大きな心理的負担がともないます。無理に結論を急ぐのではなく、状況に応じた適切な関わり方を考えることが重要です。
第三者に相談する
運転免許の返納を促す際は、家族だけで抱え込まず第三者に相談することが大切です。医師や警察などの専門家が間に入ることで、返納の話が「家族の都合」ではなく「安全のために必要な判断」として伝わりやすくなります。
医師や警察の言葉には一定の専門性・権威性があるため、本人が自身の状態を冷静に認識しやすくなる効果が期待できます。結果として、説得する家族の負担も軽減されるでしょう。
- 具体例
-
- 医師から「運転に注意が必要」と医学的な視点で説明してもらう
- 警察の高齢運転者相談窓口で、返納の必要性や手続きを案内してもらう
- 自治体の相談員に、返納後の生活支援制度を紹介してもらう
返納するメリットを具体的に伝える
運転免許の返納を前向きに受け止めてもらうには、返納するメリットを具体的に伝えることが重要です。メリットが明確になれば、本人も納得しやすくなります。
とくに、車の維持費や保険料が不要になるなど、経済的な負担軽減は理解を得やすいポイントです。返納後の生活がむしろ楽になるという視点を示せば、抵抗感が和らぎます。
さらに、家族の安心や周囲の安全につながる選択であることを伝えると、本人も「誰かのためになる決断」として受け止めやすくなるでしょう。
- 具体例(返納するメリット)
-
- 車の維持費(保険・税金・ガソリン代)が不要になり家計が軽くなる
- 自治体のタクシー割引・バス割引などの特典を紹介する
- 家族が安心して見守れるため、本人も精神的に安定しやすい
事故のリスクや現状を冷静に共有する
免許返納の話をする際は、感情的にならず、事故のリスクや現状を冷静に共有することが大切です。最近の運転の変化やヒヤリとした場面を、記憶ではなく記録ベースで伝えましょう。事実を淡々と伝えることで、本人も自分の状態を客観的に見つめられるようになります。
一方で、「責めたいわけではなく心配している」という気持ちを示し、本人のプライドを傷つけないように話し合いを進めることも必要です。
- 具体例
-
- ヒヤリとした場面を記録しておき、落ち着いた場面で共有する
- 最近の運転の変化(迷いやすい・標識の見落としなど)を事実として伝える
- 「責めたいわけではなく、心配している」という姿勢を示す
代わりの移動手段を一緒に考える
高齢ドライバーの方が免許返納をためらう大きな理由の一つが、「生活が不便になるのではないか」という点です。そのため、代わりとなる移動手段を具体的に示せば、返納を前向きに考えてもらいやすくなります。
返納後の生活を現実的にイメージしやすいように、買い物や通院など、日常の行動パターンに合わせて移動手段を一緒に検討するとよいでしょう。「返納してもこれまで通り生活できる」という安心感が生まれれば、本人の決断が一気に進みやすくなります。
- 具体例
-
- 通院日は家族が送迎する曜日を決める
- 近所のバス路線やコミュニティ交通の利用方法を調べる
- 買い物は宅配サービスやネットスーパーを併用する
認知症の方の運転免許に関するよくある質問
運転免許の更新や返納の可否は日常生活に直結することなので、どうすればよいか判断に迷う場面も多いでしょう。ここでは、認知症の方の運転免許に関するよくある質問とその回答をまとめました。
認知機能検査に落ちたら免許の返納は強制ですか? 認知症で免許取り消しになった後に再取得は可能ですか? 運転免許の自主返納はどこでできますか?
Q認知機能検査に落ちたら免許の返納は強制ですか?
認知機能検査に落ちたからといって、直ちに免許返納が強制されるわけではありません。ただし、医師の診断で認知症と判断された場合は、道路交通法に基づき免許の取り消しや停止となります。不安がある場合は、医師や警察の運転適性相談窓口に相談しましょう。
Q認知症で免許取り消しになった後に再取得は可能ですか?
認知症による免許取り消し後でも、医師の診断で回復が確認されれば再取得は可能です。再取得にあたっては、運転免許センターで安全運転相談を受ける必要があります。取り消しから3年以内であれば適性検査と講習で取得できますが、3年以上経過すると新規取得扱いとなります。
Q運転免許の自主返納はどこでできますか?
運転免許の自主返納は、運転免許センターや最寄りの警察署の窓口で行えます。原則として免許証を所持している本人が直接出向いて手続きを行う必要がありますが、やむを得ない事情があり本人が行くことが困難な場合に限って家族等の代理申請も可能です。
認知機能に不安がある場合は
「運転しない判断」も必要
認知症やその疑いがある状態での運転は、本人にとっても周囲にとっても思わぬ事故につながるおそれがあります。そのため、高齢者の免許更新では認知機能を客観的に確認する検査が必須とされています。認知機能に少しでも不安がある場合は、運転を控える、あるいは免許の自主返納も検討しましょう。
認知機能への不安を感じたときこそ、正しい知識をもとに冷静に向き合うことが大切です。日常的な認知機能ケアに関心を持つことが将来の安心につながります。「認知機能ケアプロジェクト」では、認知機能の改善効果が注目されているガンマ波に関する最新の研究情報を配信しています。ぜひチェックしてみてください。