みんなのトイパ会議

みんなのトイパ ! コラム Toilet Performance Column

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トイパレポートvol.01

未来のトイレ/TOTO株式会社

木塚 里子 さん

木塚 里子 さん

TOTO株式会社 総合研究所・UDライフスタイル研究部
ライフスタイル研究グループ
主席研究員

トイレの環境と排泄物」を
研究する
研究者に
聞いてみました!

「トイレといえば“TOTO”」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか? そんな国内シェアNO.1のTOTO株式会社 総合研究所でトイレの環境と排泄物の研究に日々情熱を注いでいるトイレ研究のスペシャリスト木塚里子さんに、排便、健康、地球環境…などさまざまな視点から“トイレ”について語っていただきました。


トイレの環境”と“排泄物”の
調査と研究の日々

木塚さんがトイレの環境(ニオイを含む)と排泄物の研究をはじめたのは約10年前。そのころはまだまだ排便について話すことは一般的にタブー視され、“腸活”や“腸内細菌”といったワードを聞くこともあまりなかったといいます。

「最近はメディアなどで腸活や腸内細菌といったワードをよく目にしたり、耳にするようになりましたが、私が研究をはじめたころはまだ一般的ではなく、私自身もそこまで身近には感じていませんでした。もちろん社内にはそういった研究をしている人たちもいましたが、あくまでも一部の人たちだけの専門的な分野という印象でした」

トイレ研究のスペシャリスト木塚里子さん

そんな木塚さんも研究を進める中で、排泄物がいかに人の健康にとって重要かに気づかされ、調査と研究にどんどんのめり込んでいったのだそう。

「勉強のためにと排便の本を次々とネットで購入していたら、気がつくとおすすめ商品が排便に関するものだらけになっていました(笑)。
それに街で新しい建物を見つけると私の場合『ステキな建物だな』ではなく、『中にはどんなトイレがあるのだろう』『どんな使われ方をしているのだろう』とトイレが気になってしまい、用事がなくてもついつい中に入ってリサーチしてしまいます。事前にお願いをして、深夜の駅舎のトイレに行って、汚れやニオイのサンプリングをさせていただいたこともあります」

そしてこの10年で、トイレや排泄物に対するイメージが徐々に変化していると感じているそう。

「10年前に比べれば、腸活などのワードが一般的になり少しずつトイレや排泄物に対するイメージはオープンになってきていると思います。とはいえ、まだまだ誰もが日常的に話す身近な話題というわけでもなく、タブーと感じている人もいるかもしれません。排泄物が健康状態を知るうえでいかに大切なものなのかをより多くの人に知ってもらうためにも、さまざまな情報を発信していくことが必要だと思います」

トイレは大事なものを出す場所

木塚さんにとって、ズバリトイレとは?

「当たり前ですが、トイレは排泄をするところです。ただし、それだけではありません。排泄物にはその人の健康情報がぎっしり詰まっています。だからそのまま流したらもったいない! 大事なものを無駄にしないために、私は現在、排泄物を測定するためのデバイスの研究をしています。

Health Information Check!

研究所にはさまざまなタイプのトイレが設置されていて、みんなが日常的に使っています。中には、別のフロアのお気に入りのトイレまで行っている人も。その種類は多岐にわたり、例えば汚れが付きにくいトイレの開発のため、あえて掃除をしないで性能を確認しているトイレもあります。日々そういった身近な情報も蓄積して、研究を進めています」

トイレの性能確認
トイレの性能確認

腸は食べ物を消化する働きだけでなく、脳や免疫、体質改善、認知症やがんなど全身の健康とも深く関わっているといわれている重要な器官。もし排泄物の測定が手軽に自宅でできるようになっていけば、日々の健康チェックに大きな変化が生まれるだけでなく、予防医療にもつながるはずです。

「特別なものを身につけなくても、ただトイレを使うだけで、スマートフォンのアプリケーションに健康に関するレコメンドが届くようになれば、毎日の健康チェックがもっと手軽にできるようになります。10年後、20年後、多くの人にとってトイレがただ排泄する場所から、健康チェックに欠かせない場所になっているといいなと思っています」

トイレは唯一ひとりになれる貴重な空間

では木塚さんにとって、理想のトイレ空間とは?

「私にとっての理想のトイレ空間は、リラックスできる場所であること。トイレはひとりでゆっくりできる貴重な空間だと思うんです。ただ排泄物を出すだけの空間ではなく、もっとリラックスできる空間を作りたいと思っています。ただどうしたらそのような空間が作れるのかその答えはまだ見つかっておらず、現在も色々と考えながら毎日を送っています」

もしどんなトイレに行ってもリラックスできる方法が見つかれば、旅行中慣れないトイレで便秘になったり、トイレを我慢したりすることも減り、確実にトイパアップにつながりそう。

「それと、節水トイレがもっと普及すればいいなと思います。トイレは地球環境とも関係が深く、節水は限りある水資源を守ることにつながります。それに、上下水道での処理には電気を使用しているため、節水トイレの普及は、節電とCO2排出量の削減にもなります。毎日欠かさず使うものだからこそ、そういった視点も大切だと思います」

協力:TOTO株式会社

さらに進化を続けるトイレ
イメージ

さらに進化を続けるトイレ

私たちを取り巻くトイレ事情は目まぐるしく変化し、日々トイレも進化を続けています。そしてそれほど遠くない未来には、排泄するだけだった場所から、座るだけで毎日の健康チェックができる場所に…。今後トイレは人々の健康のためにどう進化し、どのような機能がプラスされていくのか、私たちのトイパアップにつながる“未来のトイレ”に期待が膨らみます。