専門家の声
日本抗加齢医学会理事長
山田秀和先生
「見た目」は体全体を表す。
20年後の未来は自分でコントロールできます。
「見た目」から私たちの健康や老化の状態が分かるって本当ですか?
「見た目」が健康や老化のバイオマーカーになることは、この10年さまざまな研究を通じて明らかになっています。例えば、一卵性双生児の「見た目」について調べた研究によると「見た目」が若い方が長生きでした。また、サルのカロリー制限をすると「見た目」が若く長寿だったという報告もあります。ニュージーランドのダニーデンで行われた前向きコホート研究では、「見た目」が老けている人は、脳年齢や内的な老化も進んでいることが分かっています。これらの研究から「見た目」は老化のひとつの表現型(phenotype)と考えてよいでしょう。
私が取り組んでいる「見た目のアンチエイジング」では、「見た目」を「体形」「容貌」「皮膚」で整理していますが、興味深いことに「見た目」が若い人は毛細血管が拡張していて、しわ、たるみ、くすみが少ないという特徴があり、生物学的な「美」にもつながっていることが分かっています。
- 「見た目」の守備範囲
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体形 身長・体重;BMI / 肥満 / BWH比;体形 / 皮下脂肪分布 / 骨格筋 / 脊柱・その他の骨 / 歩行 容貌 顔面(くすみ・しわ・たるみ);皮膚+皮下脂肪+筋肉+骨 / 毛穴の開き・輝き / 頸 / 毛髪;髪型・量・色・髪質 / 眉毛、睫毛 / 立ち居振る舞い 皮膚 表皮・真皮・皮下脂肪 / 汗腺・皮脂腺 / 毛髪・その他の毛 / 接触 / 肌質 / 香り
エイジング対策はいつから始めるべきですか?
抗加齢医学としては、“0歳からのアンチエイジング”と言っています。受精の瞬間から始まり、胎児期の初期環境が大変重要です。また人間の健康のピークは20代後半から30代と考えられていることからも、できるだけ早期にアンチエイジングへの取り組みを始めることが推奨されます。
たとえば、現在30歳の人が生物学的年齢を10歳若返らせることは容易ではありません。しかしアンチエイジングに継続的に取り組むことで50歳の時に、生物学的年齢を10歳若い状態(40歳相当)にすることは不可能ではありません。早期にアンチエイジングに注力することで、何も対策をしない場合と比べて顕著な違いを体感することができるでしょう。ペース・オブ・エイジング対策は時間を味方に取り組むことが大切です。
ペース・オブ・エイジングを改善するにはどうすればよいですか?
- 健康日本21(第三次)が掲げる目標値(一部抜粋)
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栄養・食生活 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上 身体活動・運動 1日の歩数平均値7,100歩 休養・睡眠 睡眠時間6~9時間
最後に30代の皆さんにメッセージをお願いします。
Profile
日本抗加齢医学会理事長
山田秀和先生
1981年近畿大学医学部卒業。専門は皮膚科学(免疫・アレルギー疾患)、抗加齢医学。オーストリア政府給費生としてウイーン大学や米国国立衛生研究所で学ぶ。2007年、近畿大学アンチエイジングセンターを創設して、医学、薬学、農学、運動に関する共同研究をしている。現在は「見た目」の研究から、遺伝子の働きを制御するエピジェネティクスの仕組みの究明に取り組み、日本人のEpigenetic Clockの開発もしている。2025年大阪・関西万博の大阪パビリオン推進委員会委員・ヘルスケア先端予防医療ディレクターも務める。