STOP! のど乾燥スパイラル

のどの重要性

「のど」の
感染防御の働き
「のど」の
線毛運動の低下
のど乾燥
スパイラル

「のど」の2つの感染防御の働き

「のど」の2つの感染防御の働き

「のど」における2つの感染防御の働き

感染症に対する防御機能には、大きく分けて「①物理的バリア」と「②免疫」の2つがあります。とくに「のど」は、外から侵入してくるウイルスや細菌などの病原体に対して、最前線で防御を担う重要な部位です。のどでは、粘液と線毛が働いて「物理的なバリア」を形成し、異物の侵入を物理的に防いでいます。さらに、のどの「粘膜免疫」が、体内に入り込もうとする病原体に対して素早く反応し、排除しようとします。

しかし、冬場は湿度の低下によって、こうしたのどの防御機能は弱まりやすくなります。また、気温の低下によって体温が下がると全身の免疫機能も低下します。しかもインフルエンザウイルスは低温・低湿度下で活性化する性質をもっています。そのため、冬場はインフルエンザをはじめとした感染症に感染・発症しやすくなるのです。

「のど」の感染防御①
物理的バリア : のどの粘膜と線毛運動

私たち人間のからだには、ウイルスや細菌といった異物が肺にまで到達しないようにする防御機能が備わっています。その一つが、喉頭から肺にかけての気道の内壁を覆っている「線毛」と「粘液」です。

「線毛」は、直径およそ1000分の1ミリという非常に微細な細胞構造でありながら、気道の防御機能において中心的な役割を担っています。ウイルスが体内に侵入し、鼻やのどの粘膜に付着すると、線毛が活発に動いて異物を体外へ排出しようとします。 1秒間に15〜17回の速さで波打つように小刻みに動くこの「線毛運動」によって、粘膜の表面に捕らえられたウイルスなどの異物は粘液の流れに取り込まれます。これにより、くしゃみ、鼻水、咳、たんなどの反応が起こり、ウイルスは外へ押し出されます。また、異物が唾液と一緒に飲み込まれた場合は、胃液によって分解されます。

しかし、冬場の低温・低湿度下では、粘液や線毛が乾燥して線毛の働きが弱まります。これにより異物を排出させる働きが低下し、ウイルスが気道にとどまりやすくなってしまうのです。

「のど」の感染防御②
粘膜免疫 : IgA抗体

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IgA抗体とは

・ 最も多く産生される抗体
・ 全身の粘膜で作用し、ウイルスなど異物を排除
・ さまざまな異物に対応できる

粘膜免疫」は、目・鼻・口・腸管などの粘膜表面において、病原体や花粉など異物の侵入を防ぐ働きを担っています。この粘膜免疫は、感染症やアレルギーの対策において、非常に重要な役割を果たしています。

その中核を担うのが、「IgA抗体」と呼ばれる免疫物質です。IgAは、ヒトの体内で最も多く産生される抗体であり、全身の粘膜表面に存在しています。のど周辺には扁桃などの免疫組織が集まり、ここを誘導組織として鼻水や唾液からIgA抗体が産生され、外界から侵入する病原体に対する免疫防御の最前線となっています。

IgA抗体は、粘膜上で病原体と結合することで、体内への侵入を防ぎ、感染から身を守ります。その特徴は、特定のウイルスや細菌に限らず、多様な病原体に反応して結合する「守備範囲の広さ」にあります。