04認知症コラム

認知症による顔つきの変化を解説│特徴や原因、接し方のポイント

2024.05.09

認知症による顔つきの変化を解説イメージ

認知症は、記憶力の低下だけでなく、顔つきにも変化をもたらします。この記事では、認知症による顔つきの変化の特徴や原因、接し方のポイントについて解説していきます。また、顔つき以外に認知症だと疑われる初期症状も紹介しますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

認知症の人に見られる顔つきの特徴

認知症になると顔つきが変わることがあります。認知症の人に見られる顔つきの特徴は次の通りです。

目つきが変わる 表情が乏しい 不安そう、悲しそう、暗い表情をしている 険しい、怒っているような表情をしている 口角、まぶたが下がる 顔が垂れる

認認知症の人に見られる顔つきイメージ

認知症になると顔つきに上記のような特徴が見られることがあります。認知機能が低下し、外からの刺激が減ることから、抑うつ傾向になることが原因の一つです。また、反応が少なくなることで、表情筋が衰え、口角やまぶたが下がったり、顔が垂れたりします。ただし、これらの表情については個人差があるので上記の特徴が認知症の人全員に当てはまるわけではないことに注意してください。

認知症で顔つきが変わる原因

認知症において、患者の顔つきが変化する原因は大きく3つ存在します。それぞれの項目について確認していきましょう。

アパシーや抑うつの状態で意欲が低下しているため パーキンソン症状が現れているため 日常生活の変化による影響のため

アパシーや抑うつの状態で意欲が低下しているため

認知症になるとアパシーや抑うつの症状が見られることがあります。そして、意欲が低下することによって顔つきが変わってしまうのです。アパシーとは、無気力・無関心になってしまう状態のことを指します。アパシーによって意欲が低下すると、入浴しなくなる、ゴミを出さなくなるなど健康面や衛生面で無精が目立つようになります。

抑うつとは、気分が落ち込み何もする気がしない状態のことです。抑うつになることで、不安や焦り、無価値感、憂鬱を感じやすくなってしまいます。結果として表情が減り、顔つきが変わったように感じられる場合もあるでしょう。

パーキンソン症状が現れているため

パーキンソン病は手足の震えや強張りを起こす神経疾患ですが、実は認知症と合併率が高いことがわかっています。とくにパーキンソン病を伴う認知症では、筋肉のこわばりの症状が見られる場合が多いです。顔面においても筋肉が硬くなり、表情筋が動かしにくくなることから表情が乏しくなってしまいます。

そのほか、レビー小体型認知症という病気でも、表情筋が思うように動かせなくなり、無表情になってしまうケースもあります。

日常生活の変化による影響のため

認知症になると意欲が低下してしまうため、新しいことに挑戦しようという意欲が少なくなり、日常生活が単調になる傾向があります。実際に、認知症の方は人と関わる機会が減ったり、生活がルーティン化したりと行動に変化がなくなる場合が多いです。

そして日常生活で得られる外からの刺激が減ることによって、さらに認知症が進行し、表情がより乏しくなってしまうという悪循環となってしまいます。

顔つきの変化以外の認知症の初期症状

認知症では、顔つきの変化以外に次の症状がみられる場合があります。当てはまるものがないか確認してみてください。

同じことを何度も話したり、聞いたりする 人や物の名前が出てこなくなる 数分前のことを忘れてしまう 会話やテレビの内容が理解できなくなる 家事に時間がかかるようになる 趣味に興味・関心がなくなる 身だしなみを構わなくなる 些細なことで怒りっぽくなる 計算ミスが多くなる 自分の物を盗まれたと言う(物盗られ妄想)

など

認知症の主な症状として、物忘れが多くなるということが挙げられます。そのため、人の名前や物の名前が出てこなくなる場合もあるでしょう。

また、短期記憶力が低下することで、同じことを何度も聞いたりしてしまいます。さらに理解力や判断力も低下してしまうので、家事ができなくなったり、計算ミスが多くなったりなどの症状が出現します。

上記のような認知症が疑われる症状がみられる場合は、早めに病院を受診して診断、治療を受けることがおすすめです。

顔つきの変化以外の認知症の初期症状イメージ

認知症によって顔つきが変わった人との接し方

認知症によって顔つきが変わってしまった場合、その人の顔つきに応じて、適切な接し方をしてください。認知症の人全員に当てはまるわけではありませんが、接し方のヒントについて解説します。

不安そう、悲しそう、暗い表情 無表情 険しい、怒っているような表情

不安そう、悲しそう、暗い表情

認知症において表れる不安そうで悲しげな表情は、記憶力や判断力の低下による不安感が影響しています。こうした状態に対処するには、相槌をうちながら丁寧に話を聞いて、不安や辛いといった気持ちを和らげることが重要です。ミスをしていたとしても怒るのではなく、ご本人の気持ちに寄り添うようにすることが大切です。

無表情

無表情な状態は、認知症に伴って周囲への興味や関心が薄くなっている状態を反映しています。こうした場合、昔の思い出や好きだったことを聞いて、ご本人が過去の経験や感情に触れるような会話を促すことが効果的です。懐かしい話題に触れることで、自分の過去に思いを馳せて、感情表現が活性化されることもあるでしょう。

険しい、怒っているような表情

険しい、怒っているような表情は、感情のコントロールがうまくできていない状態と考えられます。険しい、怒っているような表情のときは無理に接するのではなく、冷静にアプローチすることが求められます。まず、なぜそのような表情を見せているのか理解することが大切です。嫌がる理由や不快に感じている内容を把握するようにしましょう。そして、原因に応じて対応を考えることが重要です。

認知症の顔つきに関するよくあるQ&A

認知症の方の顔つきに関するよくある質問内容について解説していきます。ご自身の疑問がないか確認してみましょう。

Q認知症の人の顔つきの特徴はなんですか?

認知症の人は目つきが変わり、表情が乏しくなります。

認知症の人は意欲が低下することによって顔つきが変わってしまう場合があります。さらに、記憶力、判断が低下することで、不安や悲しみ、怒りといった感情が顔に表れやすくなるでしょう。さらに、パーキンソン病やレビー小体型認知症には筋肉が動かしにくくなるという特徴があり、表情筋が硬くなることで表情が乏しくなる可能性があります。

Q認知症で顔つきが変わる原因はなんですか?

主な原因は、記憶力や判断力の低下による不安感や感情の制御の困難、パーキンソン病の発症などが挙げられます。

認知症の方では記憶力や判断力が低下することによって、不安感や感情の制御が難しくなってしまうことがあります。また、合併症としてパーキンソン病が発症すると、表情筋の制御が難しくなり、顔つきが変わる場合もあります。これらの要因は個人差がありますが、理解と適切なサポートが必要です。

顔つきの変化は認知症の症状の可能性も。
症状が進行する前に早めに診察を受けましょう。

認知症では記憶力の低下だけではなく、顔つきが変化するのが特徴の一つです。認知症患者の目つきや表情が乏しくなる症状は、記憶力や判断力の低下、感情の制御の難しさに起因しています。アパシーや抑うつの状態、そしてパーキンソン病の発症なども、顔つきに影響を与える要因です。

接し方のポイントとして、穏やかな態度で、相手の感情に寄り添うことが挙げられます。顔つきの変化は認知症の症状の可能性もあるので、心配な場合は早めに医療機関を受診してください。

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