04認知症コラム
【簡単】グループホームとは?
老人ホームとの違いや選び方も解説
2025.07.31

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、共同住居の中で認知症の方にケアを提供する施設です。本記事では、グループホームの特徴や老人ホームとの違い、選び方について紹介します。また、入居の流れや入居時の必要書類についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
グループホームとは?
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症の高齢者を対象とした共同生活施設です。スタッフによるケアを受けつつ、5~9人で共同生活を送り、自立した生活を目指します。
少人数制のため、家庭的な雰囲気で過ごせるのが特徴です。また、入居者やスタッフとの絆をつくりやすく、心身ともに安定した生活を送りやすいというメリットがあります。
- グループホームの定義
- 認知症(急性を除く)の高齢者に対して、共同生活住居で、家庭的な環境と地域住民との交流の下、入浴・排せつ・食事等の介護などの日常生活上の世話と機能訓練を行い、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにするもの。
引用元:厚生労働省 老健局「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」
グループホームの特徴
認知症の方が暮らす場所として、グループホームは選択肢の一つです。どのような特徴を持つのか理解しておくと、施設選びがスムーズに進みます。以下で、主な特徴から一日の受けられるサービス、一日の流れまでを押さえておきましょう。

主な特徴
グループホームは、5~9人で共同生活を送りながら、自立した生活を目指す認知症の方のための施設です。専門スタッフのケアを受けながら、本人の意志を尊重した生活を送ることができます。
- 認知症の高齢者のための共同生活施設
- 地域密着型
- 専門スタッフのケアを受けられる
- 少人数で共同生活を送り、自立した生活を目指す
入居の条件
65歳以上かつ要支援2もしくは要介護1以上の認定を受けている認知症の方を対象としています。また、グループホームは暮らし慣れた地域での生活を支援する「地域密着型サービス」です。そのため、原則として入居できるのは施設と同じ市区町村に住民票がある方に限定されます。
- 65歳以上
- 要支援2または要介護1以上の認定を受けている
- 医師により認知症の診断を受けている
- 施設と同一の市区町村に住民票がある
受けられるサービス
グループホームでは、介護スタッフにより入浴や食事の際などさまざまな場面で生活のためのサポートを受けられます。ただし、医療行為やレクリエーションなど、基本的なサポート以外のサービスは施設によって異なるため、入居前に確認しておきましょう。
- 入浴、排せつ、食事の介助
- 買い物代行、掃除洗濯の介助
- リハビリ、見守り、生活相談
- レクリエーション
など
費用相場
入居一時金に加え、月額利用料金の前払いなどが発生することもあります。月額利用料金の前払いについては一定額の返還が定められていますが、その他の費用については返還のルールは施設によって異なるため確認が必要です。
月額利用料金の内訳は、「介護サービス費」と「日常生活費」の大きく2種類です。介護サービス費は要支援・要介護度によって負担額が異なり、1日あたり746円~859円で計算されます。日常生活費には、食材費や理美容費、おむつ代などが含まれます。
- 入居一時金 :0~300万円程度
- 月額利用料金:12~20万円程度(介護サービス費+日常生活費)
主な生活費
居住費 食材費 水道光熱費 理美容費 おむつ代
一日の流れ(例)
空いた時間に入浴や散歩、レクリエーションなどを実施します。ただし、スケジュール通りに進むとは限りません。天候や入居者の体調により、変更されることもあります。
7:00 | 起床 |
7:30 | 配膳・朝食 |
8:00 | 歯磨き・服薬 |
8:30 | バイタルチェック |
12:00 | 配膳・昼食 |
12:30 | 歯磨き・服薬 |
15:00 | 間食 |
18:00 | 配膳・夕食 |
18:30 | 歯磨き・服薬 |
21:00 | 就寝 |
グループホームと有料老人ホームとの違い
有料老人ホームは、高齢者のための施設です。大きく分けて介護付き・住宅型・健康型の3種類に分類されます。
種類 | 概要 |
---|---|
介護型 |
|
住宅型 |
|
健康型 |
|
グループホームと有料老人ホームの大きな違いは、「認知症」に特化しているかどうかです。グループホームは認知症に特化した施設であるのに対し、有料老人ホームは介護が必要な方から不要な方まで、さまざまな高齢者を対象としています。
グループホームは原則として住民票と同じ市区町村の施設しか利用できませんが、有料老人ホームは、施設によっては住民票と異なる市区町村でも入居可能な場合があります。また、費用も千差万別です。グループホームよりも高額なケースもあるため、検討段階で詳細に確認しておきましょう。
グループホームの選び方
グループホームは施設によって費用やサービスが大きく異なるため、複数の施設を比較し、慎重に選ぶ必要があります。
以下6つのポイントを押さえ、納得のいくグループホーム選びをしましょう。

施設の立地条件
入居が決まったらグループホームが生活の中心となるため、立地を確認しておきましょう。交通の便は良いか、家族は通いやすいか、周辺にはどんな施設や店舗があるかなども確認しておくと安心です。
また、騒音がなく落ち着いて暮らせる環境かどうかにも注目しましょう。時間帯や曜日を変えて何度か見学すると、自分に合う施設を選びやすくなります。
受けられるサービスや医療体制
グループホームによって、受けられるサービスは異なります。生活介助や家事支援などはどの施設でも提供されていますが、レクリエーション活動や理美容サービスなどは施設ごとに異なるため、入居前に確認しておく必要があります。
また、看護や医療を受けられるかも確認しましょう。グループホームでは看護師の常勤は義務付けられていません。持病がある場合は慎重に確認をしてください。
入居にかかる費用
グループホームにかかる主な費用は、入居一時金と月額利用料金の2種類です。施設によっては月額利用料金の前払いが必要となることもあり、入居時の費用が高額になる可能性もあります。
また、生活費などがかさむケースもあるため、入居一時金・月額利用料金ともに内訳を事前に確認しておきましょう。
施設の規則や退去条件
施設ごとの規則もしっかりと確認してください。グループホームによって、家族との面会ルールや、家族会(入居者の家族の交流会)の運営などが異なります。
また、退去条件も確認しておきましょう。施設によっては、健康状態の変化や他の入居者とのトラブルが退去条件になることが多いです。
スタッフの状況
グループホームでは、入居者3人につき1人のスタッフを配置しなくてはいけません。夜間においては、ユニット(5人~9人)につき1人のスタッフが必要です。決められた人数を満たしているか、しっかりと確認しておきましょう。
また、スタッフの人柄や雰囲気も確認しておくと安心です。できれば何度か見学して、入居者への接し方や仕事ぶりなどをチェックしておきましょう。
入居者の状況
グループホームは共同生活を送る場でもあるため、他の入居者との関わりも密になると予想されます。入居が決まれば一緒に暮らすことになるため、どんな方々が入居されているのかも重要なポイントです。
一緒に生活できそうか、入居者同士やスタッフへの接し方はどうか、雰囲気や要介護の状態なども確認しておきましょう。
グループホーム入居の主な流れ
- STEP1施設の見学
- STEP2申し込み(必要書類の提出)
- STEP3入居可否の決定
- STEP4入居契約
- STEP5入居
グループホームへの入居を希望する場合は、複数の施設を見学し、比較してから入居施設を決めましょう。施設の見学から入居までの主な流れを解説します。
まずは施設の資料を取り寄せましょう。気になった施設を見学し、入居施設を絞り込みます。ケアマネージャーにも協力してもらい、相談しながら進めていくのが安心です。
また、施設スタッフとの面談も実施されます。面談終了後に必要書類を提出しますが、グループホームによって提出する書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
必要な書類
利用申込書 年金振込通知書(コピー) 介護保険被保険者証(コピー) 介護保険負担割合証(コピー) 通帳(年金振込がわかる部分のコピー) かかりつけ医による診断証明書 住民票(コピー) 身元保証人の身分証明書(コピー)
書類提出後、グループホーム内で入居可否が検討されます。施設によっては、入居可否がわかるまでに数日かかることもあります。入居可と判断されたら、契約をして引っ越しという流れです。
入居可否は主に、住民票と施設の住所が同じ市区町村であるか、かかりつけ医による認知症の診断証明書があるか、その他施設ごとの条件を満たしているか、などから判断されます。ただし、入居可の判断が下されても、入居待ちが発生する可能性もあるためあらかじめ考慮しておきましょう。
安心して暮らせるグループホームを選ぼう
グループホームは、認知症の方に特化した高齢者向けの施設です。専門スタッフによるサポートを受けながら、自宅と同じように日常生活を送れます。普段の暮らしに近い形で、自立した生活をしたい方に適した施設といえるでしょう。
しかし、共同生活の場でもあるため、人と関わることが苦手な方には向かない可能性もあります。施設ごとの特徴を把握し、利用者にとって最適な場所を選ぶようにしましょう。
認知症についての理解を深めることは、患者本人だけでなく介護者にとっても大切なことです。ぜひ最新の研究にも目を向け、認知症の方との関わり方にお役立てください。