Chapter04
ティーファーストのススメ
~紅茶ポリフェノールで食後の血糖値上昇を緩やかに
食事の最初に紅茶を
飲む・食事中に飲む
「ティーファースト」の習慣で、
食後の血糖値の急上昇を
緩やかに
食後の飲み物と思われがちな紅茶ですが、今、食事の最初に飲むあるいは食事中に飲む「ティーファースト」が注目されています。これまでいくつもの研究で、紅茶に含まれるポリフェノールが糖質の消化酵素の働きを弱めることが報告されてきました。ティーファーストで糖質の分解・吸収を緩やかにして、食後の急激な血糖値上昇を抑えることが期待されています。
紅茶ポリフェノールの働き
- 糖質の消化・吸収速度を緩やかに
- 食後血糖値の急上昇を緩やかに
- 老化物質AGEsの形成を抑える
糖質は消化酵素で
分解された後に吸収される
食事として摂取した糖質を体内に吸収させるために欠かせないのが、糖質消化酵素です。お米やパンなどの糖質の大部分がデンプン(多糖類)という大きな糖質で、そのままでは吸収されません。α-アミラーゼやα-グルコシダーゼといった糖質消化酵素によって、ブドウ糖などの単糖類へと分解されることで吸収されるようになります。 糖質の消化酵素は唾液の中にもあるので、糖質の分解は、口に入れた瞬間からスタートしています。
糖質吸収のしくみ
ティーファーストの習慣化で
糖質も脂質も吸収を抑えられる
ティーファーストで紅茶ポリフェノールを摂取しておくことで、糖質の消化酵素の働きを低下させ、後から入ってくる糖質がゆっくり 分解・吸収するようになると考えられます。これにより食後の急激な血糖値上昇が抑えられれば、糖化によって生じるAGEsの形成を抑制することも期待されます。AGEsは、老化の促進や生活習慣病との関連が指摘される悪玉物質です。 また、紅茶ポリフェノールには脂質の吸収を抑制するという報告もあるので、毎日のティーファースト習慣は、糖質と脂質の両方を意識した食生活につながります。
最新研究:
終末糖化産物AGEsの形成抑制
終末糖化産物AGEsの形成抑制
AGEsとは、余分な糖質と体内のたんぱく質が結びついて形成される終末糖化産物のことで、老化を促進させ、死亡のリスクを高める悪玉因子だとされています。このAGEsの形成が紅茶抽出物によって抑制されることが、2026年に発表された研究で確認されました。
この研究では毒性の強いグリセルアルデヒド由来AGEs※1に注目し、異なる濃度の紅茶抽出物の存在、非存在下でグリセルアルデヒドとウシ血清アルブミンを反応させ、試験管内で形成されるAGEs量を比較しました。グリセルアルデヒド由来AGEsとしては、「GLAP」と「MG-H1」について評価しています。
- ※1 AGEsの中でも毒性が強いとされる。細胞や血管への障害を引き起こし、糖尿病合併症、動脈硬化、アルツハイマー病などの発症・進展に関与すると考えられている。
- ※2 MG-H1は検出されない。
紅茶抽出液によるAGEs形成阻害作用(主にGLAP)
方法:25mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を2mMのグリセルアルデヒド(2mM GLA)と最終濃度0〜1%紅茶抽出液の存在、非存在下に0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)溶液中にて37℃でインキュベーションした。その後、AGE化したアルブミン量をAGEに対するモノクローナル抗体を用いたELISA法で測定。
濃度は、紅茶抽出液の最終濃度を示す。
**P<0.01 vs. B+G. N=6.
紅茶抽出液によるMG-H1形成阻害作用
方法:25mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を2mMのグリセルアルデハイド(2mM GLA)と最終濃度0〜10%紅茶抽出液の存在、非存在下に0.2 Mリン酸緩衝液(pH7.4)溶液中で1日間37°Cでインキュベーションした。その後、MG-H1量をELISA法で測定。
濃度は、紅茶抽出液の最終濃度を示す。
**P<0.01 vs. B+G. N=6.
出典: Takanori Matsui, Sho-ichi Yamagishi: Black tea extracts inhibit the formation of glyceraldehyde-derived advanced glycation end products in vitro, Diabetes Frontier Online 13, e1-001, 2026
有識者コメント:
ティーファーストで血糖値対策
「tea first」で食後の血糖値スパイク対策を
考えてみませんか
我々の体のエネルギー源となる糖質は、穀物類や果実類、お菓子類やジュースなど実に様々な食品の中に含まれています。糖質は、結合している糖の数によってデンプン(多糖類)、二糖類、単糖類などに分けられますが、体内に摂り入れられた糖質は、唾液や膵液中のα-アミラーゼや小腸の粘膜に存在するα-グルコシダーゼなどの作用により、最終的にはブドウ糖などの単糖類の形で吸収されます。そのため、糖質を多く含む食品を摂り過ぎると血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が食後に急上昇し、血糖値スパイクを引き起こすことがあります。食後の血糖値や糖を経口負荷したときの血糖値の上昇が顕著な人ほど、心臓病のリスクが高まり、癌死や心臓病死、総死亡率が上昇することが知られています。したがって、できるだけ血糖値スパイクを抑えるような食習慣を確立したいものです。紅茶ポリフェノールには、α-アミラーゼやα-グルコシダーゼ活性を抑制したり、食後の高血糖から形成される終末糖化産物(AGEs: advanced glycation end products)による活性酸素の産生を抑えたりする作用があることが報告されています。「tea first」で食後の血糖値スパイク対策を考えてみませんか。