-- OPINION --
オピニオン
紅茶ポリフェノールに詳しい有識者
中山 勉先生
- 静岡県立大学 食品栄養科学部 客員教授
- 農学博士
PROFILE
東京大学農学部農芸化学科卒業。同大学院農学系研究科修士課程修了。長年にわたり、茶など植物性食品の成分(ポリフェノール)を研究。東京農業大学、日本獣医生命医科大学教授を歴任。日本フードファクター学会名誉会員。
紅茶ポリフェノールの特徴は分子の大きさ
紅茶ポリフェノールは、茶カテキンが発酵過程で重合して、大きな分子になっています。大きくて血中に移行しにくいために、腸管や消化酵素の表面で作用して、脂質吸収の抑制や消化酵素活性の阻害に働いたり、また腸内細菌叢に影響を及ぼすこともできるのです。
紅茶には、ポリフェノール類だけでもテアルビジンやテアフラビンを始めとしていくつも種類がある上に、アルカロイド類、アミノ酸類、香気成分など数百種類以上の化学成分が含まれています。紅茶の健康・美容効果は複数の成分の複合作用と考えられるでしょう。紅茶を日常的に飲むことで、1つの成分だけではなく複数の成分と効果が得られます。
奈良井 朝子先生
- 日本獣医生命科学大学 応用生命科学部食品科学科 教授
- 農学博士
PROFILE
東京大学農学部農芸化学科を卒業。同大学院農学生命科学研究科博士課程修了。現在、日本獣医生命科学大学において、食品に関する成分化学、酵素学、機能学を中心に、植物性食品成分の生化学的変化ならびに生体分子との相互作用について精力的に研究中。
紅茶ポリフェノールが食事からの脂質の吸収を緩やかにする
紅茶ポリフェノールによって、食事に含まれる油脂が消化されづらくなり、吸収が緩やかになることが研究で明らかになっています。通常、油脂は➀リン脂質の作用で小さく乳化され、②消化酵素(リパーゼ)に分解されることで、より小さくなって腸の細胞に吸収されます。しかし、紅茶ポリフェノールが加わると➀リン脂質と結合することで油脂の乳化を解除します。すると油脂同士が集合して巨大化するため、リパーゼの作用効率が低下するのです。さらに、紅茶ポリフェノールは、②リパーゼの表面で作用してその働きを阻害します。食事からの脂質吸収を抑えることで肥満の抑制といった健康・美容効果が期待できます。