コラム COLUMN ポリフェノール周辺のアレコレ
COLUMN. 1日2杯の紅茶で、死亡率が低下!~イギリスの健康調査
およそ50万人を対象にしたイギリスのコホート研究※によって、毎日2杯以上の紅茶を飲む人の10年後の死亡率が低いことが示されました。イギリスのバイオバンクに保管された40~69歳の男女約50万人の飲み物に関する習慣と、10年後の死亡率を調査した結果、1日に2杯以上の紅茶を毎日飲んでいた人は、飲まない人と比較して、死亡率が9~13%も低かったことがわかりました。紅茶に砂糖や牛乳を加えても、結果はほぼ同じ。その理由は完全に解明されてはいませんが、紅茶ポリフェノールが関係していると考えられています。この研究は、2022年に医学誌『Annals of Internal Medicine』に掲載されました。
- 集団(コホート)を長期間追跡し、特定の因子と健康状態等の変化との関連性を調べる疫学研究
COLUMN. 紅茶の香り成分で、睡眠の質が向上! ~寝入りや途中覚醒の時間を短縮
紅茶葉のキーアロマの一つ「ホトリエノール(Hotrienol)」には、交感神経の働きを抑えて、ストレスを緩和する効果が確認されています。その作用によって、睡眠改善にも効果があることが、臨床試験によって明らかになりました。 眠りにつくときにホトリエノールの香りを嗅ぐと、嗅がなかったときよりも、ふとんに入ってから眠りにつくまでの時間が短くなり、総睡眠時間は長くなりました。 また、ホトリエノール含有食品の経口摂取で、眠りにつくまでの時間、中途覚醒の時間が短くなりました。夢みや疲労回復などの主観的な睡眠意識についても改善が認められています。 睡眠の質が良くなることで、美肌や日中のパフォーマンス向上にもつながる可能性が考えられます。
【ホトリエールを嗅いだ時の効果】 クロスオーバー試験※(各期1週間)
ふとんに入ってから眠りにつくまでの時間(分)
総睡眠時間(分)
- 対象者:健常女性 20 名(平均年齢37.4±4.3歳)、軽度ストレスがあり、睡眠が良くないと自覚していること、週4日以上の日中の時間帯で3.5時間/日 以上働いている勤労者。
- 被験者が時期をずらして、複数の異なる治療を受ける研究デザイン
【ホトリエールを経口摂取した時の効果】 ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験(各期2週間)
ふとんに入ってから眠りにつくまでの時間(分)
総睡眠時間(分)
- 対象者:健常男女 33 名(平均年齢39.5±4.0歳)、軽度ストレスがあり、睡眠が良くないと自覚していること、週4日以上の日中の時間帯で3.5時間/日 以上働いている勤労者。
- 試験品:ホトリエノールタブレットまたはプラセボタブレット
COLUMN.紅茶誕生秘話~偶然の産物というのはおとぎ話?!
イギリスのイメージが強い紅茶。しかし、17世紀にはイギリスでも東洋から輸出された緑茶が飲まれていました。それが紅茶へと変わりはじめたのは、海上貿易が盛んになった17世紀後半のこと。紅茶はこの頃に生まれたと言われています。 紅茶誕生には諸説あり、よく聞かれるのは「緑茶を運ぶ航海の途中で偶然できた」というお話です。これはヨーロッパでも中国でも語られますが、裏付けとなる研究や資料はありません。一方、最初から「輸出目的で作られた」という説もあります。中国からヨーロッパまで数か月以上かかる航海に耐えうるよう、中国の茶葉製造者が品質低下を防ぐために発酵させて、作り出したというものです。3つめは、もともと中国にはウーロンのような半発酵茶があり、その人気がヨーロッパで高まっていったので、好みに合うようにさらに発酵を進めたという開発ストーリーです。 今となってはどれが真実かはっきりとはわかりませんが、緑茶よりも保存がきく上に、味が濃くて渋みの強い紅茶は、ヨーロッパの人々、とりわけイギリス人に好まれて、18世紀には国民飲料と呼ばれるほどに定着しました。